本当に幸せだよ
嘘じゃない


「正臣」
名前を呼ばれ、振り向くと優しく頭を抱き締められた。
「誕生日おめでとう」
「…ありがと、沙樹」
思えば去年も一昨年も誕生日には一緒にいれなかった。…オレが誕生日には絶対に行かないようにしていたからだ。沙樹を裏切ったオレに、祝ってもらう資格なんてないと、思った
ただ、一昨年はそのことに苦しんだけど、去年は正直楽しかった。…帝人と杏里が、いたから
今は沙樹といれて幸せだけど、寂しくないといえば嘘になる。…自分から逃げたのというのに、本当に情けないけれど。 そんな心境を呼んだかのようにオレを抱きしめていた腕がすっと離れ、二つの紙袋を手渡される。
「はい、これ。誕生日プレゼント」
「ありがとな…ん?
沙樹、これは…?」
一つは沙樹から、でももう一つあるこれは誰からなのだろうと思い、尋ねると、沙樹は困ったように笑う。
「それね、正臣の前のアパートの玄関にかけてあったの。」
「え…」
「臨也さんがね、私に取りにいけって。誰からかは教えてくれなかったんだけど」
でも正臣ならなんとなくわかるよね?と沙樹は優しくオレの頬を撫でる。
震える手で中身を出すと、大好きな二人と笑っているオレが写っている写真を入れた、可愛らしい装飾の写真立てと、よく知った二つの筆跡の誕生日カードが二枚、入っていた。
何故、どうして、そんな疑問と同時に暖かいものが心を満たす。二人はまだ、オレを忘れないでいてくれたのか
目頭が熱くなり流れ出した雫が頬を伝う。再び抱き締められた腕の中で、オレはそれにすがりつき、年甲斐もなく泣きながら、少しだけ笑った。



ありがとう
(大好きだよ)



生まれてきてよかったと、そう思えるくらいに






「愛しの将軍様」提出
あなたが本当に好きです。








「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -