何人めのお医者さまかは覚えていない

今度はどんなお薬を飲めば良いの?

枯れ枝のように細った手では何も掴めやしないわ

大丈夫だと笑う貴方は何て残酷なひとなのかしら

暦の上ではもう三月も過ぎてしまったのよ

夢みたい、あなたとまた会えるなんて

「ねえ、私は本当に幸せね」

彼女は最期に小さく笑うとゆっくり静かに息絶えた

(床の間の一輪挿しが音も無く揺れていた)


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