冬の風物詩
ピンポーン
俺は軽快に玄関のチャイムを鳴らした。すると、パタパタという足音と共に松野の明るい声が聞こえる。
「お肉買ってきてくっれたっかなー?」
「買ってきた。」
俺より肉を歓迎ですか。まあ、あいつらしいからいいけど。
「よーし、じゃ、準備万端ですねィ!!」
玄関から案内された部屋に入った途端暖かな湯気と美味しいそうな香りが俺の鼻孔をついた。はあ、冬と言ったらやっぱりこれだよな。
「Let's 鍋パーティー!!」
大きなちゃぶ台の真ん中には大きな土鍋。冬の風物詩ともいえるだろう。
「じゃ、早速お肉をいれましょうか。」
「うわああああ!! なにやってんだよお前!!肉は野菜の後だろー?! ばかっばかっ!!」
「は?え、うぇー?早く食べよーよー」
「ダメッ!!」
開始早々肉を入れるだなんて…全く松野は末恐ろしい奴だ…。俺はそんな危なっかしい松野から箸を引ったくり野菜を入れはじめた。鍋は入れ方を間違えたらもう後戻り出来ない恐ろしさがあるっていうのに…
「……鍋奉行…」
「は?」
「半田は鍋奉行だよ。」
「…いやいや普通だろ。」
「普通じゃないよっ、鍋奉行!!鍋奉行!!」
「うるへー。別にいいよ、鍋奉行でも! ほら、肉入れてやっから黙れ。」
「…肉…」
発泡スチロールの中に入っている真っ赤な肉を取り出す。まだ中学生だから安物を買ったんだけどこうして見ると中々美味そうだ。その肉をゆっくりと鍋の中に降ろしていく。松野が唾を呑む音が聞こえた。
そして、その3分後、肉もそろそろいい具合になったとき。
「その肉もらったぁぁああああ!!!!」
鍋に入れた筈の肉は全て無くなっているのであった。
「はぁーっ、美味しかったあー!! またやろーねっ、お鍋!!」
「絶対に嫌だ。」
「なんでよーう、この草食系男子めっ」
「うるさい、肉食系男子。」
これも冬の風物詩なのだろうか。
End and for ぴあにかさま
リクエストありがとうございました!
+気味な松半ということで友達っぽいことをさせてみました。いや友達っぽいというか友達なんだけど… なんかよく分からない文になってしまいましたが…(汗)
これからもよろしくね笑