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「好きで、好きで、仕方なくなる程の恋愛ってあると思う?」


最近ずっと考えていた。
好きで、好きで、仕方なくなる程の恋愛なんてあるのだろうか、って。
よくドラマとかで恋愛ドラマなんかよくみるが、どれをみても最後はハッピーエンド。それもこれが最初で最後の恋愛だと言わんばかりの大ハッピーエンドだ。
でも、周りを見ているとそんなもの夢物語のように思えたりもする。昨日までは仲良さそうに付き合っていたのに次の日になると、はい、さようなら別れましょうってなってたり、1回ケンカしただけであの人は私には合わない俺には合わないで別れたり、好きなのかどうか解らないまま付き合ったりしている。
斯く言う俺も今目の前でキョトンとした顔で見つめてくる松野と付き合っているわけだが。実際のところ、最近分からなくなってきているのだ。松野と付き合うということに。いや、勿論、松野の事は自分でもびっくりするくらい大好きだ(本人には言わないけどね。)でも、俺らには性別というものがある。それはとってもとれないものな訳で。
だからこそ、凄く怖かったりする。男同士という常識はずれの関係が。
いつか、壊れてしまうのではないかって。男同士というだけで大人になったら常識というものを知って壊れてしまうのではないかって。結婚もできない、子供作れない、ただ愛しあうことしか繋ぐものがない俺らの関係は実はとても脆いものなんじゃないかって。そしたら、俺らは周りにいる、好きかどうか解らないまま付き合っている同級生カップルと同じじゃないか。
ドラマみたいな、最初で最後の恋愛なんかないんじゃないかって、気付いた。
いや、俺らにそんなものあるのかなって、気付いた。
ないまま、付き合っていてもいいのかな、って思った。


「あるよ」


不意に君はそう呟いた。


「好きで、好きで、仕方なくなる程の恋愛、あるよ」


真っ直ぐ見据えてくる君の目を俺も真っ直ぐと、みる。


「ほんとに?」
「ほんとに。」
「嘘じゃない?」
「嘘じゃない。」
「絶対?」
「絶対。」


ぎゅう、って胸を強く掴まれたような感覚。
知らない間に俺の両方の目からは涙がたくさん零れていた。君を真っ直ぐ見ていたはずなのに涙の所為で君が歪んで見えるよ。


「よかった」


好きで、好きで仕方なくなる程の恋愛があって。
だって、在るのなら、俺らが証明できるじゃないか。


「好きだよ、半田のこと」
「うん、」
「半田は?」
「…うん、」


それに、ね。


「俺は」


君が好きで、好きで仕方なくなってきてしまっているんだね。

こんなことを思い付いてしまうのはそういうことだろう?

世界がまた、君で埋まり始めている。


「好きだよ」




End

好きです




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