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まだかいマシュマロ


「ぼぼぼ僕っ、あれっ、あれ食べたい!!!!」
田崎は突然顔を真っ赤に染めたと思ったら手にもっていたチョコチップクッキーをブンブン振り回して俺のお菓子ボックス(引き出し)を指差した。
「あれ? あれって、なんだ?」
あれとはなんだろうか。ガサゴソと引き出しの中を探ってみる。すると、また別のビニールの感触が指先に触った。
「あ、これか?」
「へ? あっあっ。うん。チョコ…」
「マシュマロ。」
「ましゅ??! あっうっうん! ましゅまろ!」
俺の手元には可愛らしいくらいのピンク色をしたマシュマロ。田崎はそれを見ると先程は違う赤色に頬を染めた。
「はい、どーぞ。」
「ありっありがと!! わぁあぁ ましゅまろだあ」
田崎は嬉しそうにマシュマロを受け取ると早速ビニールを破り捨てやらかいものを口の中に入れた。
俺はその様子を見ながら引き出しの中を見た。中はマシュマロが一つ残っているだけ。あれ程沢山補充してあったお菓子達はもう田崎と俺の腹の中。何と無く寂しく感じる。
「…田崎。これもいるか?」
「ほ? いいの?」
「ああ。」
最後の一つも引き出しから居なくなった。
「ハロウィンだからなぁー」
あれ程暇していた午後ももうすぐ太陽とおさらばだ。
「ふふ、そっか」
田崎も可愛らしく笑い声を漏らす。
空っぽになった引き出し。
お菓子が無くなった寂しさ。
けれど、どうしてだろうか。

どうしてだろうか。

顔が笑ってしまう。
今、とても楽しいんだ。

マシュマロが柔らかく跳ねた。

ふんわりふわわ

俺を楽しいませてくれる感触。

ふんわりふわわ。

つい追いかけてしまう。

ふんわりふわわ。

消えないで、

君と、一緒に まだ居たい。


「Trick or Treart」







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