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僕を、殺して。オマケ


(切ないと見せかけて実はアホ文)




あの騒動から、10分後。
チャイムが鳴りはじめ、穏やかな春空の下、俺らは5時間目をサボっていた。


「あーあ、チャイム鳴っちゃった。」
「おー…」


松野はぼけーとした表情でそう呟いた。
俺も気持ち後ろを振り向き、遠くで微かに鳴り終わるチャイムに耳を傾けていた。


「…ねぇ、半田。」
「なに。」


あんなに叫んだのは久しぶりだったから、体は重い。どこかに体を預けたい気分だ。
松野もそのようで、トサリと俺の隣に寝転んだ。


「さっき言ったさぁ、1番好きってほんと?」


…こいつは、本当にいつもいきなり突拍子もないことを言い出す。


「…嘘。」
「嘘なの? じゃあ、何が1番好きなの。」
「…炒飯。」


サァッーと春風が俺らの頬を撫でた。
桜のいい香りが鼻孔をくすぐる。


「僕は本当だよ。半田を世界で1番愛してる。」


大きな幅の広い雲が俺らの上をぷかぷかと浮かんでいる。
それのせいでもあるが、いつもより松野の顔が暗く見える。


「っていうかさぁ、好き っていう気持ちには嘘つきたくないんだよね、僕。」


ぎゅっと心臓を掴まれたような気分になる。


「うーん、なんていうかさぁ、好き っていう気持ちを嘘つくって、相手にも自分にも失礼な気がする。…ねぇ、半田。」


わかってる、わかっているさ。
これは松野の仕掛けた罠だって。
でも、不思議と松野の口調は人をその気にさせる口調なのだ。


「どう、思う?」
「う、うぅ……」
「ねぇ、」


罠なのに、わかってるのに。


「………炒飯が1番好きなのは、嘘。」



松野には、まだ勝てる気はしない。


「だーいすき、半田。」


「本当に!!」




End






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