not hug you!! 「はぁんだっ」 ぢゅーっと下品な音を経てながら、お気に入りの苺ミルクを飲んでいた時、突然、腰の辺りに何かがぶつかってきた。 「…!!!」 いや、ぶつかってきた、という次元じゃない。どついてきた、という方がぴったりだろう。 まぁ、今はそんなぶつかり方の問題はどうでもよくて。 俺は、腰に どついた ものを確認するため背中から斜め下の部分に目をやった。 すると、やっぱり。 「…なに?」 腰に細い腕を巻き付けながら、何やら悪巧みをしていそうな表情でこちらを見ている松野が後ろにいた。 「ん〜?? 別になんでもないけど、僕もそれ飲みたいなぁ、なんて。」 「…なんでもあんじゃんか。っていうか、これくらい自分で買えよ。」 「とか、言ってもくれんでしょ??」 松野は、俺のくわえている苺ミルクのパックに指を指したままケラケラと笑った。 まぁ、そうなことは、あるのだけれど。 「んなこと言うと、あげねぇーぞ?」 「んふふー ごめんねぇ?? ありがとー」 俺は、気持ちの悪い松野に溜息をつきながら ほら。と苺ミルクを手渡した。 俺は松野に甘いのか? 俺は、ちらりと隣を横目で見た。 そこには、苺ミルクを嬉しそうに啜る松野がいて、最近そんな松野を見ていると何だか狡いな。と思うようになっていた。 何故、狡いのかは具体的には解らないが。 「…松野ぉ、」 空っぽになった苺ミルクはえいっという松野の掛け声と共に孤を描きながら網ごみ箱に入った。 それと同時に俺は隣に座る松野にもぞりと近づく。 そして、そぉっと腕を松野の背中に伸ばしてみた。 「なに? 半田、…その腕と。」 「…え? 別に。」 あともう少しだったのに。 俺は伸ばした腕を元にあった場所に帰した。 「そーう??」 「うん。」 俺の最近の遊び。いや、遊びっていうより挑戦??まぁ、どっちでもいいんだけど。 それは、松野に抱きつくこと。 いや、違うんだ。決して松野に抱きつきたいとかそういう下心ではなくて。 ただ、単純に。いつも抱きつかれているからたまにはこっちらからも抱きついてみたい。という好奇心。 「…ねぇ、半田。」 「んー?」 空にはフワフワと白い雲がゆったりと流れていた。 もうすぐ、春の匂いを感じる。 そんな俺の挑戦は、もう幾度も失敗している。 いつも、もう少しのところで松野に気付かれてしまうのだ。 なんだかそれが無性に悔しかったりする。 「もうすぐ、春だねぇ。」 松野はそうのんびり口を開く。 そして、うーん、と猫みたいに伸びを一つすると体を横に倒してきた。 「…!!?」 松野は狡い。 何故、狡いのか。 それはきっと。 「だから、心機一転でもしてみる?」 こてんっと俺の膝に頭を乗せているオレンジ色。 ピンクと青の目に悪い色合いのニット帽はひらひらと宙をまった。 「半松、とか。」 それは、きっと。 「いやだ?」 隙がないから。 「〜〜〜っ」 「半田にはまだ抱きつかせてあげないよーだっ。」 だから、無性に 「腹立つ。」 「ははっ。」 まだまだ君には抱きつけないようだ。 でもいつかすきだらけにしてあげるからね。 「ずるっ。」 END う、うーん…? なにが言いたいのか迷子になったw |