短編 | ナノ



君の廃棄物

(社会人パロ)




がちゃんっ


「!!」


深夜2時(くらい)
玄関でドアの閉まる乾いた音と、革靴がパタパタと脱げる音がした。
僕はその音により炬燵で寝ていた体を起こした。
こんな夜遅くに帰ってくるのは君しかいないからね。


「うぃ〜……………」


音の持ち主がトストスと千鳥足でリビングに向かって来るのが分かった。
と、同時にアルコールの匂いがリビングに入って来た。
その匂いは僕の鼻孔に遠慮せずに入って来て、僕は「うげ」と情けない声を漏らす。


「ひっく…うぅ……」


少し、頭がクラクラしながら僕はリビングのドアに手をかけ、カチャとノブを時計回りに回した。


「…う、わぁ」
「…うふぁ… あ、はっ、」


ドアの向こうには、顔を真っ赤に染めた君。


「…もー…、飲み過ぎだよぉ、真一ぃ。」


真一は、ぐでんぐでんに酔っ払っていてよくこれで家に帰って来れたな。と思わせるくらいだ。
そして、その間抜け顔のまま僕の方向にドチャリと倒れかかってきた。


「うわぁ、」
「はははは、くーすぇー、たっだいまぁー」


真一は楽しそうに僕の肩に頭を乗せながらくすくす笑っている。
これだから酔っ払いは。
っていうか、真一はお酒弱いのになんでいつもこんなになるまで飲むのかなぁ…。


「もー、ただいま じゃないでしょー。お帰り。」
「お帰りって、ひっく、言ってん、じゃぁーん。」
「はいはい。もう、寝ようね、真一くん。」
「え、えぇー…やぁだー」


真一は、くすくす笑いから今度はけらけら笑いになりながら僕の背中をバンバンと叩いてくる。
これが、結構痛かったりする。


「やだじゃないでしょーが。ほら、コート脱いで。」


僕はため息混じりで真一の着てきたコートを脱がそうとする。
真一はそんな僕の動作さえも可笑しいらしくより一層けらけら笑いはじめた。
もう、うざったいくらいだ。
そして次にネクタイを外そうとした時、真一のうざい笑い声が止まった。


「…真一?? どうしたの??」


さっきまで、あんなに馬鹿みたいに笑っていたのに突然静かになられたらやっぱりビビるものだ。
僕は眉を潜めながら、真一の顔を覗き、目を見開いた。


「がっ、我慢して!! 真一!!!」
「……………う、う、う、」


静かになった真一は顔を真っ青にしながら、口を抑えていた。
僕はそんな●●を我慢している真一を急いでトイレに連れていった。




「ほら、真一。出して。」
「うぇ…やだ…ぁ、」


急いでトイレに連れていき、優しく背中を摩ってやるものの真一は今更何が恥ずかしいのか●●を吐き出そうとしない。
僕はそんな真一をみてはぁ、ため息を一つ着いた。


「この、酔っ払い。」
「うる…ひゃあい」
「ほら、口、あーん。」


まるでお母さんのように真一に口を開けるよう指示をだしてやると酔っ払いは素直にあーん。と口を開けてきた。
僕はその隙にぐいっと口の中に人差し指を突っ込んだ。


「!!!!!!!!」
「ほーら、すっきりぃー」


酔いもすっかり冷めたらしい酔っ払いは、半泣きの目で僕を見てくる。

もうさ、本当に。
君のことは君のお母さん以上に知ってるっていうのに、何を今更。

君からの廃棄物も全て愛せる自信があるのにな。


「……もう、飲み会禁止にする……。」


はは、可愛いなぁ。



End








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