深夜のまどろみ (年齢操作:大学生) 深夜。 真一は、寝室の窓際に置いてあるシングルベッドで一人寝ていた。と、いってもまだ帰ってこない恋人を待っているため、うたた寝程度なのだが。 「うぅ…早く、空(クウ)帰ってこいよ、な…」 時計の針はもう2時を指そうとしている。うたた寝なんかしていたら、あっという間に意識を手放しそうになってしまう。頭はうつらうつらと船を漕ぎはじめた。 「……………やば……………………」 と、呟いたのが早いか。真一は俯せのまま顔を枕にダイブさせ、次の瞬間には意識は夢の中にとろりと溶けていった。 あれから、何分くらい経ったのだろう。真一はガチャリという玄関のドアノブの乾いた音により夢から意識を取り戻した。ボーッとした脳みそで回りの音を聞いていると聞き慣れた足音が聞こえた。 タン…タ、タ、タ、 あの軽やかな足音は空だ。漸く恋人が帰ってきた。真一は眠たい意識のなか出迎えなくては、等と思考を巡らすが肉体がそれを拒んでいる。まだ、寝ていたい、と主張するかのように体は重くなった。 「う…ぅ…」 真一は、だったら。と思い、空介が部屋に来るのを寝て待っていることにした。しかし、これが意外ときつい。意識を飛ばさぬようにしているのは。大学でもよくあることなのだが、こう、目の前にベッドがある状況でのこのつらさは想像を絶する辛さだった。 「……………も、無理だ……」 間もなく、第2の睡魔が真一に襲い掛かろうとしたとき。近い所で扉の開く音がした。その音に真一を襲おうとしていた睡魔はするすると何処かへ飛んでいき、そのかわりに意識がはっきりとしてきた。 ―――――空だ。 「真一? 寝てんの?」 愛する恋人の声が真一の耳に流れ込んだ。やはり、空介だった。 真一は何か反応を示さなくては。思い瞼を開けようとするが先程と同様、体が動くのを拒否している。そのため、起きている。と反応が示せない。空介は、そんな真一を怪しく思ったのかベッドに近づいてきた。 「しーんいちっ」 肩でも、揺らされるのか。と思った。 が、予想は見事に外れ、ぴたりと何か暖かいものが真一の背中にくっついた。 「…うわっ」 その予想もしない恋人の行動に真一は体を硬直させ、首だけをゆっくりななめ後ろに向けた。すると、後ろには柔らかなオレンジ色の髪の空介がニコリと笑って真一を抱きしめていた。 「やっぱり、起きてた。何? タヌキ寝入り??」 「…うぅ、重いんだけど、空。…違う、眠くって体が動かなかった…」 「なんだ、それ。先に寝てれば良かったのに。」 「…それじゃ、空が可哀相…だろ。」 真一はうとうとした声でそう伝えると、空介は何を思ったのか体を右に回転させ真一と共に横向きになり先程より一層強く真一を抱きしめた。 「もう、真一は可愛いなぁ。…ねぇ、今日はもうこれで寝ちゃおう。」 「…はぁ…? ……うん……」 普段の真一なら、空介にこんな事を言われたら殴り飛ばす勢いで拒否を反応を出すが、今日ばかりは素直に肯いた。 背中に感じる恋人の冷たいワイシャツと暖かい肌の温もりが優しく真一を包み、真一の瞼はまたゆっくりと閉じていった。 いつも、近すぎて触れていない空介の体温はあまりにも愛おしく、この時ばかりは夜なんか空けずにずっとこのままでいたいと心から思った。 二人は、深夜のまどろみにゆっくりと、溶けていった。 End 最近、パロ多いな(^-^; |