短編 | ナノ



幸せ方程式




もし、このままの関係をずっと、ずっと、続けていたら、俺らは離れていくだろう。

だって、いずれ、俺らは別の別の道を歩んでいくのだから。

中学生のたかが恋愛で、一生一緒にいれるなんて思っていない。

だから、時々その事実が無性に悲しくなって俺を不安させる。


ズゴ ズゴゴ


イチゴ・オレのパックが中の空気を吸い取られぺちゃんこに潰される。

空は雲、一つない快晴。


それだけのことなのに、何故、こんなにも不安になるのだろう。

君とずっと一緒にいたい。

それだけのことなのに、どうして、俺は迷っているのだろう。


ガシャン


屋上のフェンスが情けない音を経てて揺れた。

それと、同時に潰れたイチゴ・オレは手を離れ、宙をゆっくりと落ちていった。


君のことは、大好きだけど。
宇宙一、君を愛せる自信はあるけれど。

俺の言葉じゃ、自信は持てなくて。


「半田、」


ピョンとピンクと青のニット帽が俺の目の前を跳ねた。


「結婚しよう。」


それだけなのに、悩みは吹き飛んで。
嬉しくなって、舞い上がって。

こんな、単純でいいのかなって不安になった。






一生、愛したい君へ。



End








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