短編 | ナノ



恋愛自覚




ハラハラと雪が俺等の上に降ってきた。
町はうっすら雪化粧をしている。


「あ、雪。ねぇ、半田!!」
「うぇ? うわ ほんとだ…」


隣の松野のように、雪を見て人々は喜んでいるが俺は、一人苦を潰したような顔をした。
そんな俺をみて松野は不思議そうな顔をした。


「半田、雪嫌いなの?」
「うーん。っていうか、寒いのが嫌なの。」
「つまんないのー。」


松野はそんな俺が不満なのか、唇を尖らしながらこちらを見てきた。


「いいだろー。別に。」
「えーつまんないよ。あ、じゃ、ちょっと待っててっ!!」
「ん?」


突然、松野が帰り道とは逆方向に走り出したと思ったら、はぁ と真っ白い息を切らして帰ってきた。


「半田っ、これ!!」
「! おしるこじゃん。」
「さっき、そこの自動販売機に売ってたの。」


松野の白い小さな手にはお馴染みのふにゃりとした文字で『おしるこ』と書かれたアルミ缶が握られていた。


「これ、あったかいよー。」
「くれんの?」
「んー?? うん。」


いつもは、やれ奢れ、やれくれだの言う松野がこうゆうものをくれるとなぜだがドキンとしてしまう。


「ありがとう。…」
「何さ、その何とも言えない表情はー。」


ぷしッとおしるこの蓋を開け、口に含むとほんのりとした甘さが広がった。


あぁ、なんていうんだっけ、こういうの。


「美味しいでしょー?」


隣でニッコリ笑っている奴をみて、あぁ。と思い出す。


「ギャップ萌えっていうの?」
「は?」


おしるこの甘さが俺を惑わす。



「飲む?」
「…間接キスしたいの?」
「……」

(前言撤回。)


End












「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -