短編 | ナノ



雪の結晶




「…さむー…」


初雪がちらほら顔を見せはじめたなか、俺は肩を震わせながら教室の窓から外を見つめていた。
隣では、吹雪がニコニコしながら同じように外を見つめている。


「ふふ。そぉかな?」

「だって雪が降っているぞ?」


俺は窓を指しながら有り得ないという表情をしたが、成る程。理由が分かった。


「北海道、出身だからか。」

「まぁ… うん。それもあるけど…」


確かに、北海道出身の吹雪ならこんな寒さへっちゃらなのかもしれない。だが、そんな理由ではないらしく、吹雪は何か言いたそうに俺の方を見てきた。


「違うのか?」

「ちょっと。」


吹雪はそう答えると、ずぃっと俺の方に顔を寄せてきた。


「っ、吹雪?」


顔と顔の距離は30cmもない。はぁ と吹雪の白い吐息がかかる。今までこんな近くで吹雪を見たことがないからどうすればいいのか戸惑う。


「僕、全然寒くない。」

「……」


ごくりと生唾を飲み込む。ゆっくり動く唇。その度にかかる吐息。今の吹雪の表情。全てが艶やかで俺をおかしくする。


「なんでだか、 わかる?」


そう笑った吹雪の表情はこの世で1番色っぽくて、悪戯だった。ぷちんと俺の中の何かが切れた。


「………解らない。」


体中の血が一気に逆流する。
俺は理性を失った。


「っ、教えて…あげようか?……ん」


気づいたら、吹雪を教室の壁にがっと押し付け先程とは状況が反対になった。
俺はゆっくり吹雪に顔を近付け、ちゅ と深い口づけをする。


「あぁ。」


吹雪はうっとりと目を細め俺を見上げる。


「いいよ。」


吹雪の真っ白な肌、
赤い、唇。そこから覗く色っぽい舌。
緑色の綺麗な瞳。
全てが俺をおかしくする。


「…吹雪、」


そして、再度俺は吹雪の唇に噛み付くようなキスをする。


「愛してる。」




End












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