短編 | ナノ



君との待ち時間

(年齢操作:高一)




ブォォォオ……


16:30、沢山の稲妻高生を乗せたバスが僕らの目の前を出発する。


「あ あぁあぁぁ〜…」

「あ はは ははは。」


今年で何度目だろうか。


「また だ…。」

「何回目だ?」

「10。」

「嘘だ。11だ。」

「ふざけんな、守。」


俺はがっくしと肩を落とし、乗り遅れの犯人、守はあはははっと笑っていた。


「まぁ、いいじゃないか、一郎太。」

「……折角、部活もなくて早く帰れると思ったのに。また30分も待ちぼうけだ。」


はぁ と自然と溜息が出てしまう。

いつもそうなのだ、守は。

課題を先生に出して来るとか、
購買でパンを買ってくるかとか、
授業中に寝てて遅れるとか。

ほとんどあいつ絡みでバスに乗り遅れる。
というか、あいつ絡みでしかバスに乗り遅れたことがない。


「全く…、で? ご希望のパンは買えたのか?」
「あー うーん えーっと… いや。無理だった。」

「……はぁぁ。」


購買パターンのお決まりのオチ。


「まぁ…うん。壁山にはどうしても勝てん。あはははっ」


守はうん うん。と自分で納得し、あはははっと白い息をはきだしながら笑った。
俺もそんな守も見ながら白い息をはきだし、笑う。


「なぁ、一郎太。」


突然、守はあはははっと笑うのを辞め、俺の名を呼んだ。


「ん?」


いきなり、なんだ。
俺はゆっくりと顔を上げ、目の前を見ると夕日に照らされながら柔らかに笑っている守がいた。
そんな表情、反則だ。
次第に鼓動は早くなっていく。
止まれ、止まれ、止まれ。
俺の願いとは裏腹に鼓動はどんどん加速してゆく。


「一郎太、俺、好きだ。」


いきなりの告白に渇ききった喉からは声が出ない。
だが、その緊張はすぐに破られる。


「お前との、待ちぼうけっ。」


守は夕日に照らされ、さっきとはまた違う、無邪気な笑み。
なんだか、気が抜けた。
しかし、顔の熱は下がらなくて 鼓動も収まらない。
守はそんなことはつゆしらず。
「お前は?」なんて聞いてくる。


「お れは…」


顔が赤いのがバレないだろうか。
鼓動の音は聞こえないだろうか。
そんな心配ばかりが胸を過ぎり、喉から零れだす声は上擦るばかり。


「も、す きだっ。」


一言、一言が途切れ途切れで格好悪い。
突然、手を捕まれた。


「ほんとかっ 一郎太っ」

「ひやあっ!!!」


変な声が出てしまった。
守は夕日に照らされて、思わず綺麗だなんて思ってしまう。
全く、本当に、


「たまに、だけだけど なっ!!」


待ちぼうけなんて懲り懲りだ。




End












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