悩み事 僕にだって悩みくらいはある。 それは、 …… 「半田ーぁ」 夕日射す教室。君と二人。 なんだかロマンチック。 君は最近かけはじめた黒ぶち眼鏡をかけながらまだ終わらない課題にとりかかっていた。 「何。松野。今、忙しいから手短にね。」 自分が課題を早く終わらせないのが悪いんでしょ。と、喉の先まで言葉がでかかったがそこはぐっと我慢する。 「好き。」 君のオーダー通り手短に。 すると、ほら、やっぱり。 半田の顔はみるみるうちに真っ赤に染まっていく。 「半田は?」 僕はにへらと笑いながら、半田に聞く。 半田の文字を書く手が止まった。 「何、その質問。」 再度、君は手を動かしながら聞いてくる。 顔は絶対にこちらに向けないらしい。 「別にいいじゃん。半田は僕のこと好き?」 「…お前の好きってれ…れ ん あいの好きだろ?!」 「当たり前じゃん。」 僕は今日も無理か。と思いぐでーと机に突っ伏した。 …… 「…松野。」 それから数十分経って 君にいきなり名前を呼ばれ僕は「ん〜?」と顔をゆっくりとあげた。真上には夕日に照らされた半田の顔がある。 「一回しか言わないからな。」 なんだろうか。 体を起こすと、半田と視線が同じになる。 半田はその視線にまた顔を赤くしてプイッと顔を窓の方に向けぽつりと言った。 「す き だよっ」 あまりに突然過ぎて、体が固まってしまう。 「もっ…もういいだろ??! はっ早く課題やんなきゃだし… もうこっち見んな ばか松野!!!」 半田は固まる僕をよそに一人で焦っている。 「…ふはっ」 なんだか笑ってしまう。 君からの初めての「好き。」はあまりにも滑稽で子供じみている。 「なっなんで笑うんだよ!! もうわけわかんない!!」 「あはははっ ははっ」 でも、まだ、 「僕も好き。」 「黙ってて。」 『恋愛』って言う言葉も恥ずかしくていえなくて すぐに顔を真っ赤にする君。 それが僕の悩み事。 君が照れ屋さん過ぎること。 でもこの様子じゃあ僕の悩みは解決されないようだ。 「すk「黙ってろ。」 End |