チュッパチャップス カサ… 飴の包み紙がカサカサと音をたて、甘い香りを部屋いっぱいに充満させる。 「♪」 その犯人は、俺の隣に座っている源田幸次郎。 俺はそんな源田をみて小さくため息をついた。 「…おい、部室でんなもん食べんなよ。」 「へ?」 源田は、間抜けな声をだして俺を見つめ返してきた。 「なんで?」 「なんで…って……」 少し考えれば解るだろう。 「甘い匂いがする部室…」 「わかった!」 まだ、俺が話しているのに源田はそれを遮り席を立った。 「あ?」 何やら源田は鞄の中を漁りだした。 そして、 「ほら。これがほしいんだろ?」 『カスタードプリン』といかにも甘ったるそうな名前の書かれたチュッパチャップスを俺に差し出して にこり と笑った。 「……………は?」 いけない。いけない。 今の源田の不可解窮まりない行動によって表情が険しくなってしまった。 しかし、源田はやはりそんな表情にも気づかず 「ん」 と言いながらチュッパチャップスを ぐいぐい と差し出してくる。 「い、らないってば。」 俺は飴のてっぺんを人差し指で ぐいー と押し戻す。 「え? いらないの?」 「いらない。」 「これ、ほしいんじゃないの?」 「いらない。っつか、こんな甘ったるい味嫌いだ。」 「美味しいよ?」 「い や だ 。」 飴の誘いを断ると、源田は不服そうに唇を尖らせて何やらぶつぶつ言っていた。 「…俺、は、コーラ味が好きだ。」 ぼそりと呟くと源田は嬉しそうにこちらを振り向いた。 「今度、買ってくるな!!」 あぁ、馬鹿だ。 「いらない。」 End |