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貴方の隣


創作
(中学生→先生)




放課後。
テスト前ということを利用して僕は教室に先生とふたりきり、数学を教えてもらっていた。
「ここに、xを代入して…そうそう。」
「こうして、あれ、出来た。」
「ん、正解。」
僕は一人ではどうも解けなかった問題を終わらせ両手を高々と天井に向かってあげた。数学の先生はそんな僕を見てはは、と笑い声をだす。
あれ、ちょっと子供っぽかったかな。
「んー、疲れたぁ。」
「お疲れ。よく頑張りました。」
私は少し後悔しながらあげた腕を下げた。すると、やっぱりさっきの行動は子供っぽかったらしい。先生は優しい笑顔を浮かべながら僕の頭をポンポンと叩いた。
「…先生、僕のこと子供扱いしてるだろ。」
「おー。バレた?」
「馬鹿にしないでくださいーっ。僕にだって、彼女の一人や二人いるですから。」
勿論、そんなの嘘っぱちだ。ただ、少しでも先生に大人扱いしてもらいたくて、それだけで。
「んー…彼女は一人だけにしとけって。」
しかしやっぱりまだまだ僕は幼稚らしい。大人扱い依然に先生はケラケラ笑い出した。
「!! ち、ちがっ、間違えた、だけ!! ってて、てゆーか!! じゃあ先生はいるわけ?彼女!!!!」
顔の熱があがっていくのが解る。それから、精一杯の照れ隠しをしたあと、自分の言った言葉に顔の熱は徐々に温度を忘れていった。

先生はいるわけ?彼女!!!!

なんてことを聞いてしまったんだろう。僕と違って先生は立派な大人。もう結婚だって出来る歳を過ぎている人なんだぞ。そんなの、いるに決まっているじゃないか。彼女なんて。

先生は一瞬驚いた様な顔をして、また何時もと同じふにゃりとした優しい顔をした。かけている銀縁の眼鏡さえも暖かく柔らかく見えた。
ああ、その顔を何時も見せているんだね。いや、違うな、きっと。今、僕に見せているその笑顔以上のものを見せているんだろうね。それからその笑顔以外の表情も。
先生はゆっくり口を開いた。まるで、誰かを思い出しているように。


「いるよ。」


知っていたさ、貴方の隣が僕の居場所じゃないことくらい。でもせめて叶わない夢くらいは見ていたかった。なのに、自分からそれも壊してしまうなんて。


やっぱり僕はまだまだ子供なのかな。

知らずに貴方の隣に居たかった。










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