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さよなら、ミヤビ




「ヒロ!見て!変な顔!」


バタバタと階段をかけ上がる音がしたと思った次の瞬間、ドアを破壊する衝撃音とその向こうで変な顔をしている幼馴染みが僕の脳を支配した。
ただ、驚いたとしか言い様のない僕は呆然と幼馴染みの顔を見つめる。幼馴染みは僕が何かしらの反応を示すまで変な顔を止めるつもりがないらしく向こうもただ変な顔で僕を見つめてくる。
可笑しな空気が僕らの間に流れ始める。途端に幼馴染みは変な顔のまま「かはっ」と1つ咳をした。口に両方の人差し指を突っ込んでいるため苦しくなったらしい。


「ぷっ」


僕は笑いをこぼした。
久しぶりに笑った気がする。
いや、ずっと笑っていなかった気がした。


「笑った」


幼馴染みはにんまりと笑っている。
久しぶりに笑っている顔を見た気がする。
いや、本当に笑っている顔を見た気がした。


「ミヤビも笑った」
「ミヤビが?」
「ミヤビが」


ぱちんと幼馴染みの小さな手が僕の頬を包んだ。


「笑って?」


泪が一筋僕の頬を伝っていた。









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