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会いに行くよ




プルルル と、普段は耳にしない機械音に僕は肩を揺らしながら遥か向こうにほおり投げられている四角い機器に目を向けた。そこに写っている青白い文字。自分の鼓動が高まっていっているのを感じた。
3回目のコールで僕は着信ボタンを押した。プッという端切れの良い音にあとに聞こえる声に僕は自然と笑みを溢す。暫く感じることが出来なかったその声を受話器越しでしか聞けないのが残念だが我が儘は言えない。その代わりに僕は受話器に自分の耳を強く押しあてる。少しでも貴方と時間を共にしたい。しかし僕らを結んでいるのは機器と機器を繋ぐためだけの電波のみ。その事実が受話器越しの距離を余計に感じさせられた。

会いたいよ

これだけでいいから心と心も繋がれば良いのに。貴方だって、そう思っているんでしょう?だって、今、言ってくれるじゃないか。


「会いに行きますよ」


僕の欲しい言葉を。




早く帰ってきて。
貴方を早く感じたい。









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