強行手段
(擬人化 PC×ウォークマン)
最近の僕の悩み事。
それはご主人様が僕に全く新しい歌を教えてくれなくなったこと。
前はもう1日おきぐらいで僕に新しい歌をたくさんたくさん教えてくれたのに。今は一週間に一回がいいとこだ。
まあ、でも。と考えて僕は歌を覚えたての歌をご主人様に言われたとおりに紡ぎ始める。歌をたくさん教えてもらってもその分覚えるのが大変だから別に歌を教えてもらえないのはそんなに悩み事ではない。
じゃあ、何が悩み事なのか。それはね。
「ぱそこんさぁん…」
ご主人様が僕に歌を教えてくれる時は必ず必要な人がいる。その人はぱそこんさんって言う人で僕が歌を覚える時には一緒になって練習に付き合ってくれる優しい人で僕の大切な恋人。
なのに。ご主人様が新しい歌を教えてくれない所為で僕とぱそこんさんの会う回数が日に日に少なくなってきているのだ。そりゃ確かに歌を覚えるのは大変だけどぱそこんさんがいてくれればそんなのへっちゃだ。ぱそこんさんに会えれば僕はなんだって頑張れちゃうんだから…。
「…会いたい…よ、ぱそこんさん…」
いつの間にかに僕が歌う歌は悲しいバラードになっていた。あれ、この歌って確か遠距離恋愛になった恋人同士が結局は別れてしまうん歌だっけ。なんだかまるで僕たちみたいだ。僕らもこうして段々会わなくなってお互いのことを忘れていってしまうのかな。そんなことを考えているときゅう、とどこかが切ない機械音を鳴らした。
「……だ。…だめだ…」
悲しいバラードはサビに差しかかる。ああ、もうすぐで歌の中の二人は別れてしまう。
「そんなの…だめだよっ……」
僕らは歌の中の二人とは違う。いつか忘れてしまうことなんて絶対にない。
僕は、僕はずっと貴方を思っているから…
「……ぱそこん………さん…………」
僕の歌はパタリと消えた。
ある、メッセージを残して。
翌朝、僕の気持ちは今までは打って変わって爽やかな明るく、幸せな気分に満ち溢れていた。なんでかって?それはね。
「お久しぶりですね。ウォークマン。今日も一緒にたくさん歌を覚えましょうね?」
「うんっ!」
大好きな人と一緒に居れるから。
大好きな人と一緒に歌を紡げるから。
僕が残したメッセージによって。
『転送中に接続が解除された可能性があります。対応ソフト・機器と接続しデータを転送し直してください。』
End
追記
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