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うたプリ


(レンマサ ※レン視点)




そこには異様という言葉ぴったりの現象が起きていた。

俺は机の上に積み上げられた大量の庶民の食べ物――菓子パンを見上げた。なんなんだろうか、この大量の菓子パン達は。一体何の意図があってこんなにも大量に積み上げられているのだろうか。
この好意にしてはあまりにも荷が重く、悪戯としては最低レベルな現象が起きたのは今から3日前からだ。3日前、レッスンも終わりくたくたの体を引きずりながら部屋に入った瞬間、俺は絶句した。俺の机の上に今日みたく大量の菓子パンが積み上げられていたのだから。それも3個や5個という数ではなく20個、30個と言うものだから流石の俺もその時ばかりは受け取れなかった。
そして、今日もその大量の菓子パンを目の前にしていた。

「はあ…。」

俺は大量のパンの内、一つ手に取ってみた。今まであまり触れないようにしていたが流石に4日目とくると恐ろしげも無くなってきたみたいだ。じっくりパンのパッケージを見てみると、ある文字に気づいた。

「…サオト…メロンパン…?」

何とも見覚えのある名前が書かれている。俺は実際このパンがいくらぐらいなのかそもそもどこで売られているのかも知らないのだが多分庶民にとっては結構な値段で売っているに違いない。それなのにこんなに大量に買うことが出来るだなんて。心当たりが一つだけ思い浮かんだ。そして、そのタイミングに合わせるかのように巨大なメロンパン山から一枚の紙が落ちてきた。

「…ん?なんだ、これは…。」

手にとってみると紙には毛筆で何やら書いてあった。

「……、…なんだ………これ…」

サオトメロンパンを大量に購入出来るほどの金持ちで、一枚の手紙でさえこんなに立派に毛筆で書く奴。
俺は一人メロンパンにかじりつきながら渇いた笑い声をあげた。ははっ。

そして、こんなに気持ちを伝えるのが不器用な奴だなんて、

「あいつしかいないよな…」


『誕生日おめでとう。』




End



追記





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