空は明るく暗く色を変え




眩しい空が窓から確認出来た。横になっていた重い身体を起こし、ここが自分の部屋で、ベッドの上だったことを確認した。
そういえば昨日……というか今日この組織の建物に帰って来てそのままベッドに倒れたんだった。



「……枕」



また枕がない……。
いつも起きると枕がないんだよな。
まあいいや。どうせベッドの下だっていうことはわかっている。まずシャワーを浴びて着替えよう。

冬の冷たい空気が布団を剥いだ瞬間襲ってきて寒さに震えた。裸足でついた床はやはり冷たい。さっさと風呂場に向かった。


風呂から出ると、そこにはルイトがいた。……なんでいるわけ?



「シドレたちがお前を呼んでる」



どうやら思っていただけのはずが、口にでていたみたいだ。つかシドレって誰。



「ツバサが死んだときの話を聞きたいらしい」

「……ツバサが……。そういえば死んだんだった……」



実感がなくて。
ルイトが立ち上がって「メシ食いにいくぞ」と言うからオレはすぐに「ルイトが奢ってよ」と返答する。正直まだ疲れているのだが、そのシドレっていう子のために行かないといけない。恐らくその子はツバサの部下だろう。リカとサクラの話を聞いて目撃者のオレに話を聞くつもりなんだと思う。もう一人の目撃者であるリャク様はボスだから話し掛けづらいだろうし。



「はいはい、俺が奢るから」



ルイトはため息を吐きながら部屋の出入り口に向かった。オレも後ろからついていく。ドアノブにルイトが手をかけてから思った。
あれ、こいつ何で部屋に入ってこられたんだ?オレが鍵をかけわすれたのかな。



「……ソラ」

「なに」

「ソラって、名前を呼びたかっただけだ」

「そう」

「ソラ……おかえり」

「ただいま、ルイト」



ドアを開けた。
ルイトはオレの方を振り返らなかった。
ルイトがどうして急にオレの名前を呼んだのかわからない。
もしかしたら前回『黄金の血』からオレだけが帰ってこなかったことでも関係してたのかもしれない。
それともオレが思い出せていない過去か。
ただの心配性か。

廊下に出てからオレは呟いた。



「『レランス』なんだね、オレのファミリーネームって」

「……!ソラ、それ……!」

「少しだけ思い出して。まだまだなんだけどさ」

「そっか、よかった」

「『ミソラ・レランス』が本名で『ソラ・レランス』が偽名。偽名なんていうほどたいして名前は変わってないけど」

「でもその偽名は棄てて、ソラは別の偽名を名乗った。その偽名は13歳までのソラだ」

「……へえ」



それは自分で思い出せ、とルイトは先を進んだ。