関係






オレに負傷がなかったことを安堵した明はツバサの隣に座った。



「てかツバサって明のこと明ねーちゃんって呼んでたけど、どういう関係?」



ツバサは口を抑えてクスクス笑った。明は「ツバサは同居人だったの!」と挙手をしながら言った。



「同居人?」

「あのときの俺は小学生のガキくらいの姿だったから、明ねーちゃんって呼んでたわけ。で、それが定着していまに至ると。」

「……明って何歳?」

「一応17歳だよ」

「ツバサって見た目17以下に見えないんだけど」

「あははっさすがだねソラ。仲間をも疑うなんて、記憶でも戻ったわけ?」



オレの返事を聞かずにツバサは笑い続ける。なにか考えていた仕種をしていた明はそれをやめて、突然机を手のひらで叩きつけた。



「実は私たち、過去からきたの!」



ごめん、頭が処理できないから。
しーんとしらけた空気の中明は立ったまま机から手を離さない。ツバサが「言っていいの?」と明に聞いている。ふざけてる空気はない。

なに、異世界だからタイムトリップとかそういうファンタジーありなの?



「いいの。私はソラを信じてるから。」

「無条件であまり信じちゃ危ないよ。仕方ない。このことについて少し話そうか。俺と明ねーちゃんの関係についても触れながらね。」


















「つまりツバサは『黄金の血』アジトに居る可能性がある、と?」

「恐らくな。」



寝ているカノンをさし置いてリャクとウノは集会をしていた。
ツバサが本来座る席は空席状態になっていてむなしさをこの真っ暗な部屋に生み出している。

ちなみにカノンの手前には黒一色に染め上げられたカードが置かれている。これは異次元にいる召喚対象にこの集会での話を聞かせて、あとでカノンが集会の話を要約、報告させるのだ。



「ならばツバサとソラを引き戻しに」

「いや、ツバサの裏切りという可能性がある。よくわからんがツバサは『黄金の血』と親しい仲だ」

「……確かに。ツバサはこちらの組織をすべて把握している……。へたに動けばこちらに危害が加わるだけ、か。」

「そういうことだ。」

「ではどうする?このままじっとしている訳にはいかんだろう?」



リャクは「そこなんだよな…」と背凭れに上半身を預けて、ため息とともにそう言った。