名前の意味を


 
『黄金の血』討伐の任務は一週間後だった。一週間とは早いもので、もう終盤だ。ていうか、今夜討伐が行われる。

その間オレはチトセに剣術を教えてもらったり、ルイトと銃の鍛練をした。手合わせはシャトナとレオの片方を交互に。意外と二人は強い。シャトナとレオの攻撃の主体は異能にあったが、異能を一切使用しない体術も劣っていない。というか異能なしでもなんの支障もないんじゃないか?

それはさておき、オレはこの一週間ずっと考えていたことがある。自分の名前のことだ。オレはソラ。美空。でもウノ様は「ソラ・ヒーレント」と呼んだ。よみがえった記憶は「ミソラ・レランス」だと語っていた。一体どれが正しい?

それにリャク様やカノン様など一部の人はオレを「オリジナル」と呼ぶ。
この理由だって気になる。だから医務室に行ってエテールとナナリーに聞いてみることにした。



「え?」



ぽかんとしたのは案の定、上記の二人だ。

ナナリーは怪我がほぼ完治して今は十分に動ける状態になったが、未だに医務室で安静にしている。たまに様子を見に来ていたのだが、リャク様に抱きついたりしていて、安静にする必要が正直わからない。カノン様は来ても大抵寝ているが。というかボスは神出鬼没で恐ろしい。ウノ様以外は空間転移を使用していつ来るのかわからないのだ。


………だいぶ話題がずれた。



「オリジナルの理由?」

「ソラにはまだ早いよ」

「子供扱いしないでよ、女装さん」

「それソラが言えること?」



エテールが笑った。

オレは問いに対する答えを急かす。ナナリーは困った顔をした。



「私たちの一存じゃ教えられないよ…」

「?どういうこと…?」

「それよりソラ、任務が今夜あるんでしょ?仮眠しといで。それについての許可はとっとくからさ」



エテールがオレの背中を押して無理矢理医務室から追い出された。


オレは首を傾げながらエテールの言うことに一理ある、と自室へ向かう。その途中でミントとバッタリ鉢合わせた。
ミントは沢山の封筒に包まれた手紙をせっせと運んでいるところだった。廊下にはオレとミントしかいない。ミントはオレに他人の如く会釈をするだけですぐ横を通りすぎていった。


そういえばミントも今夜のメンバーに選出されていた。
移動要員でありながら戦闘要員として仕事に挑むらしい。