季節は冬






「一刻を争うわけではありませんので、シャワーに浴びてから連れていきますよ!」



早朝から元気に言うミントに「助かる」と言って微笑んだシングは部屋に取り付けられているバスルームへ消えた。



「……さむっ」



ジンは目が覚めたのだが空気の冷たさに負けてすぐ布団の中へ戻っていった。今度は頭までかぶっている。中で丸くなっているのか、さっきよりも布団はふっくらしていた。

前回、描写し忘れたことがある。それは早朝がとてつもなく寒いことだ。こちらの世界での季節は真冬。オレがいた世界の季節は秋だったが、それは置いておく。マイナスにいくことは稀であるくらい、比較的に暖かい真冬なのだが、早朝は見えない氷があちこちにありそうなくらい寒い。むしろ冷たい、と表現したいくらいだ。隣にいるミルミやミントは暖房を付けよう、という話をしている。自分の体を擦っていて少しでも暖かくなろうとしていた。ちなみにオレはその場にうずくまりだした。寒いのだから仕方がない。ジンの様に布団の中で幸福に満たされたいのだが、入れば寝てしまう気がしてならない。



「市販の物で失礼しますが、パンがありますので食べてください。」

「食べる食べる。」

「わーっ、ありがとうございます、ミルミさん!」



ミルミがどこからか持ってきたパンをテーブルの上に並べていて、それをすぐさま手にとった。ミントはにこにこと美味しそうにパンを口に運んでいる。バクバクと食が進む。

しばらく食べていると髪を乾かしたシングが登場。

シングはついでに着替えたようで、ラフな格好をしている。そしていつのまにか着替えたミルミが布団越しにジンに留守番を頼んでいる。ガバッと布団を剥いだジンは目を丸くして跳ね起きた。



「留守番は任せろ、つか留守番する必要なくね?解散すりゃあいいだろ」

「……そ、うですね」

「ミルミ、お前今気がついただろ。」

「そんなことありませんよ。何を言うんですか」



いつも通り無表情のミルミは冷静に正論を言っているようだが、目線が泳いでいる。だめだ、嘘がバレている。



「それじゃあ行きますよー!」



右手を天井につきだしたミントは明るく言い、シングがうなずいた。オレはすぐに上着を羽織って暖かい格好になる。

そしてミントの能力である空間転移でその場から医務室へとんだ。