お泊まり会





……なぜこうなったんだろう?

オレは不思議で仕方がない。



「こちらに敷き布団を敷きましたよ」

「なんだか修学旅行みたいな気分だな……ってオイ!ジンおちつけって!ソラも!!」

「るっせーな、枕投げくらいいいだろ。なあ?」

「そうだよ。ルイトはケチだなぁ…」

「レイカが被害受けてるじゃねーか!」



オレたち6人は真夜中の消灯時間を過ぎたにもかかわらずこうやって集まってお泊まり会みたいなことをしている。ここはシングとミルミの部屋で、ここを選んだのは一番広いから。男女混合で布団を敷いて、寝る準備をする。

どうしてこうなったのか、忘れた。仕方なしに枕投げは止めて、思い出してみようか、と考え込もうとした時たまたまルイトの耳についているイヤホンが目に入った。



「つかルイト、いつまでイヤホンつけてるわけ?」

「俺の能力がソラと似ている良聴能力ってことは知ってるだろ」

「まあ、それっぽいことは。」

「それだ。これは特殊なやつで、俺は能力を完全にコントロール出来ないからただの話し声でも頭に響くくらい五月蝿いんだよ。だからそれを抑えるために」

「へぇ…。あ、もしかしてジンが今もリストバンド着けてる理由って」

「俺と似たような理由だ。」



ルイトはふとため息をもらした。

あ、もしオレもルイトやジンのようにコントロールできなかったら眼鏡かけてたのかな、とどうでもいいことを考えていた。



「ねえねえソラっ!」



なにか好奇心に溢れたレイカがオレに寄ってくる。振り返ると、目を輝かせたレイカがいた。



「腕、腕を触らせて!」

「腕?」



よくわからないが取り合えず袖を捲ってレイカにつきだすとレイカはそれを揉んだ。「かたいね。筋肉ある人ってやっぱ違うんだ…」とブツブツ呟いてから手を離した。


「そろそろ寝るぞー、明日起きれなくなる」とルイト(お母さん)が全体に声をかけたのを合図に、それぞれが布団に潜った。修学旅行の如く、6つの布団は仲良く集まっていた。

男女混合にした理由は「襲われても身を守れる自信がある」からだ。ミルミがそう言った。シング以外だそうたが。
普段からシングと同じ部屋で寝ているし信頼しているからそこらへんの心配はないらしい。

オレの横で眠ろうとしているレイカは非戦闘員で、身を守れないからいざという時はオレを叩き起こすことになっている。



「つかソラも女だよな」

「………。……ああ、そういえばそうだね」



ジンに指摘されるまで気が付かなかった。

布団に入ったシングは薬を飲んで、それを確認したルイトは電気を消した。