迎え







(は?)



一瞬だけ世界がブレた。いや、オレの視界がおかしいだけで世界はなんともない。

また、"呪い"ガ――?

ズンと全身に重みを感じた。
それは立っていられないほどで、潰れるように膝をついた。電話ボックスの角に手を置いて、なんとか体勢を立て直そうとするが、出来ない。



「はぁ、っは、はっ、っ…」



呼吸が…っ!!
左腕に痛みはない。これは、何!?
頭がグラグラして、意識がとびそうだ。体がミシミシと軋みをたてる。

何かやばい、何がやばいのが、具体的にはわからない。だけど何かが、何かが!!

パニックを起こさないように手首を噛んで意識を冷静にさせる。全身を走るのは悪寒。


すると突然、すっと体が軽くなった。今の、よくわからないものが消えた。

突然で、何が起きたのか状況が掴めない。

電話ボックスに背を預けて座り込み、夜空を見上げた。満天の星、なんていう大自然の言葉は全然似合わない夜空だ。



(まだ息が苦しい。)



呼吸を調えることで忙しくなっていると、少し聞き覚えがある声がオレを呼んでいることに気が付いた。

音が聞こえる方を見ると、そこから走ってくるミントの姿があった。



「久しぶりですーー!!大丈夫ですか!?」

「久しぶり。ミントも大丈夫?」

「私はもう大丈夫ですよ!」



何事もないように会話をしながらオレは立ち上がった。
ミントはじっオレの頭から足先までじっとみて、怪我がないことを確かめていた。



「あっ、さっきのごめんなさい。」

「さっきの?」

「こう、ずぅうんと重力を感じませんでしたか?なんか重いーって。」

「ああ、うん。」



なぜ知ってるんだ。というかなんでミントが謝る。異能が原因だとしてもミントは空間移動能力だ。まったく関係ない。



「今ここら辺でシドレさんたちが捕獲系の任務中なんですよ」



誰それ?捕獲って、何を?こんな深夜に?

思っていたことが顔に出ていたのか、ミントはそれらを手短に答えてくれた。



「シドレさんっていうのは私と同じくツバサさんの部下にあたります。今任務しているのはシドレさんとアイさん、ワールさんです。いつか会うと思うので気にしなくてもいいですよ」

「へぇ」

「で、捕獲っていうのは、ちょっと情報を提供してもらおうかなって。深夜なのは、対象の行動じかんが深夜だからです。」



言い切るとミントはオレの手をとって「帰りましょー!」と元気よく言ってからテレポートした。