バレンタイン!
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2月13日
調理室からは甘い香りが充満していた。そこの中には1人の少女−−−シイカがせっせと動き回っている。

ソラはその様子をジーと見ながら作られたお菓子達に目を向けた。

(生チョコ・ガトーショコラ・マフィンにタルト・・・見た目よし、香りよし、味も大丈夫そう・・・つーかうまそー)

チョコ尽くしの内容だがソラは嬉しそうに覗く。


2月14日−−−人々はバレンタインと言う。
女性が男性に愛の告白を伝えるために作られた日。
まぁ元は外国の文化をお菓子業界がうまく使ったと言ってもいいのだろう。
最近は義理チョコ、友チョコ、自分チョコとチョコのバリエーションが増えているがシイカの場合は
(やっぱり義理チョコ・・・?)

そんなソラの思いに気付かないシイカは次々にお菓子を作り出す。
(えっとあとは誰かあげる人いるかなぁ?)
・・・ソラの予想はあながち間違っていないようだ。が、

彼女の目の前には綺麗にラッピングされた箱が3つ。中身はハート形のガトーショコラ。
義理チョコか本命チョコなのかは今の所シイカしか知らない・・・。









2月14日

「あのよかったら・・・」「ありがとう」「ずっと前から!」



「・・・うるせぇー」

ルイトはピリピリした空気を纏いながら机に座っていた。

「机に座るなよ・・・。」

隣のソラは手に沢山のチョコを持ち1つ1つ口の中に運んでいる。

「俺はチョコよりクッキー派だッ!!」

ルイトの周りにはチョコチョコチョコ・・・

「モテるんだからいいじゃん。この世には貰えない人もいるんだし。」

「そーだけどよ・・・つーかお前は俺にくれないの?」

「何を?」

「チョコ。」

「今『クッキー派だッ!!』って宣言したのはどこのどいつだよ。」

「お前のチョコは食える!!」

「・・・。」

(何バカな事を・・・)

ルイトの想いの視線(本人気付かず)を無視し、廊下を眺めていると

(・・・シイカ)

トテトテとリズム的な足音で何処かに向かっている。

「ルイト、俺ちょっと消える。」

「ハァ!?ちょっ待ッ!・・・」