ちょっとの遊び心から
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「何だよこの状況…」
暫くして機械整備が終わり休憩にきた鈴芽が、華蓮以外の奴等が本気で乱戦している光景を見て絶句する。
「鈴芽!!もうどうにかしてよー!さっきから何言ってもやめないの!!」
涙目で困った様に華蓮が言う。
鈴芽は一つため息をついて
「またアレだろ?ケーキ食った!とか強いか弱いかとか実はこう思ってて、でカチーンときたりとかだろ。」
「う、うん…そうだよ。ピタリとそうだよ…」
『やっぱり常識人は凄い』と華蓮が思っている時
冷蔵庫が鈴芽に降ってきたが、
「だったらほっとけ」
『構築』の能力で逆に冷蔵庫を約一秒で分解して平然と言った。
「あ、鈴芽後ろ!!」
「ん?」
ガシャンッ!!!
「いでっ!」
しかし後ろから降ってきた花瓶には気づかず頭に当たって割れ、その場に倒れた。
「鈴芽ー!!」
鈴芽が来たことも、鈴芽が花瓶に当たって倒れたことも知らないし知ろうともしてない四人はまだ乱戦を続けている。
数秒後、鈴芽の手がピクリ、と動き華蓮が安堵の息を漏らす。
「鈴芽大丈……「あのヤロー共」……え?」
「俺をこんな扱いしやがって!」
「頭打ってキャラ変わった!?」
「全員纏めて死にやがれ!!」
「鈴芽ー!?」
起き上がったと思ったら彼とは思えない罵声で乱戦に加わる鈴芽。
いや、実際鈴芽では無くもう一つの凶暴な人格、『鈴見』に入れ替わっていた。
花瓶で頭を打った時、主人格である鈴芽が気絶し、そのせいで表に鈴見が引っ張りだされたからだ。
ついでにその証拠に瞳の色が緑から青に変わっているが誰も気づかない。
「日頃のウザ晴らししてやるよ!」
鈴芽が余り使わないもう一つの能力『爆発』を高笑いしながら盛大に使う鈴見のせいでさっきより指令室は崩壊してゆく
「もうどうしよう…」
崩壊してゆく指令室を入り口付近でぺタリと座りながら華蓮が呟く。
その時、華蓮にとっては『救世主』アイツ等にとっては『断罪者』の奴がやってきた。
「───ねぇ、何やってるんだい?」
絶対零度の声が指令室に響くと華蓮もその他五人もピタリと動きを止める。
そして、入り口付近に振り向くと五人は何ともバツが悪そうに
「「「「「…………紅。」」」」」
「全く何をやらかしたらこうなるんだい?華蓮、もう大丈夫だからね。」
「うん、ありがとう!!本当にありがとう!」
「訓練室以外では能力を使った戦闘禁止って決めてたのに指令室を半壊?いやほぼ全壊だよね。一体どうしてくれるのかな?」
「あ、…」
「その…」
「えっと…」
「だから…」
「チッ…」
「言い訳は良いよ。ちょっと…話そうか。」
ニコリ、と笑顔は優しいが般若を背景にして紅が重く静かに言い、華蓮以外の五人は声にならない悲鳴を上げた。
数時間後、ほぼ全壊した指令室を片付けながら焔羅が
「まぁ、アレだな。どんなにイラッときても指令室ではやるなってコトで」
「イタズラもするなってコトだな…」
「あれはトラウマものだよ…」
「俺、弟なのにー!」
『鈴見のヤツ、怒られる直前に俺を前に出しやがって…俺何も悪くねぇのに…』
ちょっとの遊び心から大きな火種が生まれることを学んだ四人+鈴見だった。
END
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