▼ 信じてみろ
「宇宙人はいるわ、絶対に!」
「どうして断言できる?」
「なぜならあなたが宇宙人だからよ!」
「はあ?」
「あなたは宇宙人からやってきたんだけど、仲間に記憶を一時的に塗り替えられたのよ。ちなみにその仲間は私よ」
「つまりお前も宇宙人だと?なんのために?」
「それは……、人間観測のためよ。人間観測をすることが私たちの仕事。その理由は――」
ああ、また始まった、と青年は額に手を当てて眉間にシワを寄せた。
青年を前にベラベラと宇宙人について話す少女はきっと、青年が何を言っても口を止めないだろう。青年は少女の言葉を聞き流していた。すると少女は青年が聞いていないことを感じ取ったのか、ピタリと口を止めた。そして青年を睨む。じっと、猫が獲物を見据えるように。
「……聞いてる?というか、信じてる?」
「……。聞いてないし信じてない。証拠がないだろ?」
「私たちがここに存在している、これが証拠!」
「意味わかんねーよ。宇宙船でも呼んでみろよ!」
「いいよ!……むむー。はい、呼んだ!来るのは三年後だけど」
「はぁーっ……」
信じてみろよ、現実主義者
「ったく、ああ言えばこういう……。空想もいいが現実をみろよ」
「現実ですけどー!」