▼ 二つの銃弾のうち一つは愛しの貴方に、もう一つは――……
死んだ後、人はどうなるんだろう?
天国にいって幸せな日々を送る?
地獄にいって、辛い日々を送る?
真っ黒な世界で孤独になる?
それとも、無――?
わからない。
わからない。
そもそもどうして人は生きようとするんだろう。
死が怖いから?
じゃあその死って何?
どうして死ぬのが怖いの?
私は死ぬことが怖い
それが不思議
みんな怖いの
「なのに」
どうして私に銃口を突き付けられている貴方は笑顔なの?
ざぁざぁ
そうやって耳障りな雨が私に引き金を引けってうるさく促す。
街の隅で、貴方は笑う。
「ああ、俺は幸せだ」
そう呟いて。
最期に貴方が言った言葉は「ありがとう」だった。
私は知らない
貴方が死後どうなるかだなんて。
私は知っている
貴方が生前生きた道を
辛かった、苦しかった
それだけの人生
だから死を直前に笑顔でいられるの?
これで楽になれるからって。
馬鹿みたいね
思わず笑っちゃいそう
死後なんてわからないのに
恐怖する人をたくさん見てきた
貴方は初めてじゃないけど、珍しい
ねえ
「火薬が湿気っちゃうわ。」
幼馴染みの貴方に聞きたいことがあるの
死後なんてわからないじゃない?
だからわたしにも教えて
二つの銃弾のうち一つは愛しの貴方に、もう一つは――……
(さようなら)