▼ loyalty or love
恋情と忠誠心を天秤にかけたら、天秤はどちらに傾くのだろう。
きっとこの組織にいる人間は全員「忠誠心」と答える。いや、きっと、ではない。ぜったい、だ。
オレも例にもれずその一人である。
「ソラー、なんか曇ってきた。雨降りそうだからそろそろ解散するか?」
「そうだね。鈴芽が風邪ひいたらまたオレが看病してあげるからいいけど?」
「――ッ!!ま、また明日な、ソラ」
「ん、またねー」
鈴芽と適当に街でブラブラしていたのだが、ここで解散。手を振った。
それにしても鈴芽の真っ赤な顔は面白い。癖で自然と路地裏に入って、帰路についたオレは鈴芽の顔を思い出していた。
うちの組織にいるバカップル、つまりラカールとチトセは例外だ。というか、二人は恋仲以前に契約者。組織よりも互いを最優先に考える。契約者といえばシングとミルミもそうだった。
世の中の大半が忠誠心よりも恋情を手にとるかもしれない。けれどオレたちは違っている。おかしい、のかな。やっぱり。
こんなこと鈴芽と鈴見に言ったらどうなるんだろうか。
怒る?監禁する?悲観する?縁を切る?答えはいくつでもある。
……難しいな
鈴芽と鈴見は好きだし、愛してるって言える。けれどウノ様と彼らを選ぶなら、ウノ様を選ぶ。断言できる。
鈴芽と鈴見はどうだろう?
オレと同じく革命とかを優先するんだろう。
それは悲しい。
悲しいけれど、オレも同じことを言っているのだ。五分五分といったところか。もしそうだとしても、オレは鈴芽と鈴見を責めれないし責めない。
「醜い…なぁ」
オレがあまりいい表情をしていなかったのは鈴見に、もしくは鈴芽と鈴見の両方に勘づかれているんだろう。
ぽつんと滴が落ちた。
雨だ。
帰ったらルイトかツバサに話してみようかな。彼らも同意見だろう。とくにツバサは。
ツバサはいつもなにもかも胡散臭い……ってリャク様が言ってた。
胡散臭いツバサならこの黒い感情を共感できるかもしれな――――
ああ、そうか
オレはこの黒い感情を良く思っていないんだ。どうにかしたいんだ。できないとわかっていても。
雨がオレの思考回路を邪魔するのも構わず、オレは欠伸をした。
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ワタシハ ナニガ シタカッタンダァ!