ミックス | ナノ


▼ It is hot.



「あっつい…」

「だな…。あ…、どうにかならねぇかな、この暑さ…」

「同感」



ぐでー、とソラ、鈴芽が揃って床に寝転がっている。扇風機の音と二人の声、それ以外に蝉の鳴き声だけ。ソラの部屋にあるエアコンが昨日壊れたばかりだった。談話室で涼まろうとしたのだが、今日に限って掃除をしていた。



「あー…。風呂にそれなりに冷たい水入れてはいる?」

「それ、って」

「暑いしさ。オレたち二人分なら余裕で入る大きさだし、ちょうどいいよね。汗洗い流そ。」



夏でも季節外れの長袖を着ているソラはいつもの如く男装をしている。服と体が張り付いて気持ち悪い、と呟いた。

浴室に向かうソラを鈴芽は凝視していた。こんな展開を予想していなかった、と頭を占める。
鈴見が『替わりやがれ』と訴えるが鈴芽は替わる気などさらさらない。



「あっちー」



そんな風に呟きながら浴室に水をいれるソラは鈴芽の気持ちなど一切知らない。取り合えず水をはって、鈴芽に入ろう、と戻ってきた。



「なんでエアコン壊れるかなぁ…。どうせなら鈴芽んとこ行けばよかった」

「…だな…。」

「風呂はいったらアイス買いに行こうよ」

「ああー、ナイスアイディア」



無防備、かと思えばそうではない。風呂に入る前に肩慣らしをしているソラはどうみても無防備ではなく、いざと言うときに対抗するための準備運動。
対鈴見、といってもおかしくない。彼らが交替するのは不特定。

襲われる可能性をも想定しているソラは天然どころではなく確信犯。
珍しく笑って、振り返ったソラは浴室に向かわない鈴芽を徴発するように言った。



「入らないの?」



と。ニヤリと薄く妖艶に笑うソラに鈴芽はため息をついた。



「それでも女か」

「気持ちと着時は男」

「さいですか」

「鈴芽」

「ん?」

「好き」

「俺も」

「だからさっさと入ろうよ」

「接続詞おかしいだろ」




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私(永倉)の部屋にはエアコンがない
しかも風通しが悪い
だから物凄く暑い…

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