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▼ The night sky under



「――――だから織姫と彦星は一年に一度しか逢うことができない…」



イヨは話す。目の前にいるツバサに。

ツバサはすでに七夕の話、織姫と彦星の話は知っていた。だが、それでも重く語るイヨの言葉に耳を傾け、その声を気持ち良さそうに聞き入っていた。


ここはどこか、イヨにはわからない。
ツバサが突然イヨの前に現れたかと思えば「夜の散歩しない?」と言ってイヨがいる基地から脱け出した。すれ違った十闇が何か言っていた。


とある街の外れにある大きな川。その土手には雑草が広がり、昼頃であればピクニックにいくのがちょうどいいかもしれない。
もうすぐで日付が変更される時間帯。二人は夜空に輝く川を眺めていた。
普段のツバサならキスでもするような雰囲気だが、今夜はそういうことはしなかった。

安心できるような、なにか不安が沸き上がるような。矛盾した感覚にイヨは浸っていた。



「本当は一週間に一回逢えるっていう許可だったのに一週間を一年と聞き間違えたんだってさ」



夜空を見上げるツバサの瞳はその色に染まらない。

星を夜空を世界を現実を

見ていない。

まるでイヨの存在を忘れているようだった。

イヨは悲しくなった。

自分を忘れ去られてしまうことが

だから、いつもより弱気になってツバサの名前を呟く。

どうしてここへつれてきたの

なにをながめているの

どうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにをどうしてなにを

やがて疑問は言葉になった。



「ツバサ、星は綺麗か」

「綺麗だよ」

「どうして私を連れてきたんだ?ここに」

「……歴史の話をしよう。地理の方がいいかもしれない」

「……は?」

「俺一人称では歴史かもね。
ここって昔、極東の島国だったんだよ。俺の大切な人たちが暮らしていた国。七夕になるとよく来てね。イヨにも知って欲しくて。
イヨも俺の大切な人だし。」

「……星は綺麗か?」

「どうしたの」

「星、見てなかっただろう…。」

「……」



想い出を見てたよ

悲しそうに呟くように言った。

それを聴くイヨはツバサの見る想い出がわからない
ツバサの過去をしらない

逆にツバサもイヨの過去をしらない


お互いにおもう

過去は必要ない

けれどいつか話したい

自分の身に起こってしまうかもしれない現実を

過去は必要ない

けれどいつか話したい

嫌ならば聴かなくてもいいよ

でも

いつか

ちかいみらい

こんなに綺麗な夜空の下で――――




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