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▼ Day of rain





「‥‥‥ごめん」



ザアザアと激しさを増す雨を眺めながらソラが呟いた。その声は雨に消えそうで儚い。――――わけではなく、ソラは相手にも余裕で聞こえる声で謝った。隣にいる彼は「別にいいけどよ」とぶっきらぼうに言った。

彼―――鈴見は傘を広げた。
ここは鈴見、鈴芽たちが使用する基地から離れた雑貨屋の屋根の下。

基地でのんびりと過ごしていたソラが興味本位で突然鈴芽に「互いに手加減して手合わせをしよう」と言った。実際の勝敗はさておき、そのときソラは鈴芽の後頭部を殴っていた。
その衝撃で鈴芽は気絶。代わりに鈴見がちゃっかり現れた。



「さっさと行くぞ」

「ちょ、正面見てみなよ。雨めちゃくちゃ降ってんじゃん!」

「さっきより止んだ。」

「確かに。それはわかるよ。落ちてくる雨の数が減ったし」

「数えてたのか」

「うん。」



ソラの能力は良眼能力。通常の人間より圧倒的にかけ離れた眼を持つ。それは視力であったり、洞察力だったり、さまざまだ。
その能力で落ちてくる雨の滴の数を数えることはまばたきをするよりも簡単なことだった。



「傘はひとつしかねぇんだ。さっさと隣に来い。」

「鈴見とオレの身長差と歩幅を考えてよ」

「俺のペースに合わせて歩かねぇと置いてくぞ」

「えー」

「風邪ひきたくなかったら速く来い」



相変わらずの俺様ぶりにソラは苦笑して、急いで鈴見の隣についた。



「頭痛ぇ」

「だからごめんって。」

「俺の目を見て言えよ」

「謝罪の気持ちは本当だから。」



言うセリフとは違い、ソラは鈴見と目を合わせないまま、口だけの謝罪をする。それが気にくわない鈴見は何か言ってやろうと口を開きかけたとき、タイミングよくソラが鈴見の目を見た。



「不可抗力ではありますが、頭部打撃という攻撃をして誠に申し訳ありません。」



使い馴れたようなしゃべり方だった。ふざけたりしている風ではなく、真剣にいうソラ。さきほどのなにか言ってやろうという気はどこかに失せて、鈴見はため息を代わりに吐いた。



「じゃあ何かで謝罪しろ。言葉じゃなくて、か」

「身体で払えとかなしだからね。あきらかに不釣り合いだし。」



相変わらずの無表情ぶりに鈴見は文句を言ってやろうと思った。が、それを言う前にソラが拳銃を握っていた。
殺気がないその眼とその銃口がまっすぐ鈴見に向けられた。刹那より遅く、パァンと乾いた音とカランという落下音がする。鈴見の頬には赤い線。その線はすぐに崩れ、そこから血が滴り落ちる。



「な、テメ」「これで同等じゃない?」

「は?」

「頭を殴って、頬から流血。オレは大切な人の身体を二回も傷付けた。」



何かのセリフのように淡々と言いながらソラは拳銃をしまう。
そしてうっすらした笑みを浮かべたまま鈴見を見上げた。



「ごめんね、なんでも言うこと聞くからゆるして」



なにか挑発するような瞳が鈴見を捕らえた。鈴見は一瞬驚き、そしてソラの手を引いて来た道を戻って行った。




━━━━………‥‥・・

誘い受を書きたかったなんて思ってないんだからね!!(←
友達から「相合い傘」という素敵お題をもらっておいて相合い傘がメインっぽくないっていう‥‥(´`

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