▼ Amrit...
◎ 勝手に緋里さまが書いた『ずるい奴』のツバサ視点(←
◎ ツバサとイヨが付き合う前です
若い子は元気があるなー、とどこにいてもそう思う。客観的に自分を見て、俺の精神年齢は肉体年齢を大幅に下回っていることは十分理解しているのだが。
正直、恋愛なんかもうしたくなかった。嫌だ。もう嫌だった。
人間が複数いれば、必然的に対照する人間を好き嫌いに別ける。深く深く好きになれば、やがてそれは恋へ愛へ繋がる。そして、最後に傷つく。
わかっていた。解っていた。分かっていた。判っていた。ワカッテイタ。
彼女の第一印象は「面白い」だった。
街中。わざと彼女と会って、興味があるからたくさん話をした。すぐに彼女は「好き」に分類された。
その時は、ただの「好き」で暇潰し程度の人間としか思っていなかった。会う度会う度、何かが変化する。何かが何かを否定したがる。何かが何かを認めろと主張する。
所詮、俺は「俺」ではない。
永く生きてきて、自分を喪って、貼り付けた仮面はもう手放すことが出来なくなった。
君は銃で俺を撃ったり、能力を行使する。痛いんだけど。いくら不死でも痛いものは痛い。でもその痛感も直ぐに癒えるから気にしないけど。
痛感を味わうよりも君の表情の方が幾分か面白い。真っ赤に紅潮した顔はどうみても照れてるようにしか見えない。本人はそれに気付いてないのかな?だから「何照れてるの?」と悪戯っ子みたいな表情をすると君は少し怒る。
彼女は恋愛に疎いことがわかった。
リアクションが面白くてキスしようとしたり、触ろうとしたりしてからかう。
普段は男勝りで女の子らしい可愛さはほぼ無いと見ていい。
面白い、暇潰し、そのくらいにしか思っていなかったのにいつの間にか俺は彼女に依存しかけている。
駄目だ、それ以上好きになるな。恋をするな、愛するな――――。
もう傷付きたくない、やめろ、やめろ、ヤメロ…。
大事に大事にする仮面を持つ腕の力を強くする。強く抱えると割れてしまうから、そこには気を付ける。
俺はイヨをどう思っているんだろうか。
知りたくない答えは手を伸ばした先に。
見たくもない事実は目蓋を開けた先に。
開き直って、彼女を愛してしまおうか。
事実を受け入れて、認めてしまおうか。
大人が子供に吐いていた嘘はきっと、もう―――……。