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▼ Relation


その日は一泊した。翌日の朝、早いうちに列車に乗った。三人は行きよりも会話が多く、組織の本部まで戻っていった。



「いやあ、日暗さんのキャンプファイアは暖かかった。もし今回日暗さんがいなかったら爆弾をもって爆発させるつもりだったんだ」

「へえ、爆弾か。そんなのもあるんだなあ」

「まあな。革命で使ったりはしないのか?」

「爆弾はあんまり使わねえなー。ああ、そういえばシングくんとミルミちゃんの組織って普段はなにをしてるんだ? 俺たちは革命とか、だけど」

「昨日の夜にしたようなことは主に傭兵に部類されるので、カノン様の部下である私たちです。外部で私たち組織を認識している人がいれば、唯一の戦闘集団となります。各地に派遣されていまだ戦争をしている土地に傭兵に雇われたり、武力行使の道具になります。用心棒もやったりしますね」

「へー。なるほど。人数は足りてるのか?」

「はい。本部にはあまり居らず拡散していますが、数は多いと思います。日暗さんと初めて会ったあの仕事は、本来私たちの分野ですが諜報部が交渉して仕事は諜報部のものとなりました。もし傭兵部のままでしたら私たちも本気でした。次に諜報部。主に諜報活動と組織に裏切者はいないか、と監視しています。よくわかりませんが、戦闘に特化していないものの上層部の実力は非常に高いものです。同様に研究部は術者が過半数を占めます。あらゆる研究と、契約した他会社の商品開発をして成り立っています。組織のためにいろいろしてくれているのですが、戦闘には諜報部以上に参加しません。最後に暗殺部です。暗殺部は外部からもあまり存在が知られていません。また、総勢七人と最も数が少ないです。主に暗殺、もしくは極秘の仕事を請け負います。唯一ボスが仕事によく参加するところでもあります」



ミルミが満更でもなく説明をする。日暗はミルミが言ったことをしっかり頭に刻んだ。

列車は間もなく目的の駅に停車する。



「意外だな。こういうの言わないと思ってた」

「言うさ。言わないと宣伝にならないだろう?」

「宣伝か! はははっ、覚えておくぜ」



シングが礼を述べると同時に列車の窓から駅が見えてきた。列車は減速する。










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組織の本部につくと、シングとミルミが改めて日暗の同行に礼を述べたが、日暗は「俺が勝手についてきただけなんだから礼なんていらねえよ」と優しく両手を振った。
ロビーでのソファに日暗が座る。シングとミルミは仕事の報告に行くから待っていてくれ、と告げて階段のほうへ歩いていってしまった。エレベーターは使わないのか、と日暗が思い、ロビーを見渡す。誰も彼もが世話しなく動く様子をただ眺めていた。



「おはようございます」

「へ?」



やわらかいソファで疲れを癒している日暗の前に、一人の女性が現れた。髪は赤に寄る茶色。真っ直ぐな髪が肩につきそうでつかないという長さを維持している。キリッとつり上がった目が印象的だ。彼女――ナイトの後ろには暗殺部のボスであるウノがいる。ボス補佐とボスが彼らの正体であることなど知らない日暗は彼女に目を向けた。
さすがに、来訪者へボスがツバサを含め二人も目の前に現れるということは考えてもいなかったことだろう。



「あなた、日暗さん?」

「……あんたは?」

「私はナイトよ」



笑顔で握手を求められ、日暗に悪い気はせず、それに応じた。



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