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もうすぐ雪国に着く、という列車の中。外はもう夜の色に染まり始めていた。出発地から目的地までの距離は大変長く、異能で改造された列車がいくら速くても一日を費やしてしまう。

隣で静かに寝息をたてるミルミをそっとしておき、シングと日暗は雑談をしていた。



「あのときはまさか一緒に仕事をするなんて考えてもみなかったからな。しかしこれも何かの縁だろう。何が起こるのか、本当にわからないな」

「確かにそうだよなあ。でもそれが面白いだろ! 先がわかる人生なんて面白味がねえって!」

「はははっ、その通りだな」

「お。なあ、あれが雪国か?」

「ああ。仕事は今夜になるが……、疲れているところに申し訳ない」

「余裕余裕。ぜんぜん疲れてねえよ。お前らこそ疲れてるんじゃねえの?」

「余裕余裕」



アナウンスが車内に鳴り、シングはぐっすり寝ていたミルミを起こした。シングが荷物を持てばミルミは「私が持ちます」と手を伸ばし、シングはひらりと避ける。二人の和気藹々とした様子が年相応の少年少女の姿をしており、日暗はくすりと笑った。

列車が停車し、扉が開くと3人は降り、狭い駅から出た。タクシーに乗り、宿まで到着すると荷物を預けて外へ出た。



「ちなみにあの宿は発展国が経営している宿だ。うちの上司がすでに手回しをしているから味方だと思ってくれて大丈夫」

「手回ししてんのか。すげえな。ところで今からどこに行くんだ?」

「武器庫の偵察だ。そのあとに夕食をいただきながら作戦会議を」

「おう、了解」



それから一時間。
偵察を終えた三人は近くのレストランに入り、暖かい夕食を食べながら作戦会議を予定通りにしていた。ミルミが書いたメモを見ながら日暗が武器庫の感想を呟いた。



「小さいな。大型トラックが二台分しかねえわ」

「日暗さんが相手にしている軍と違って、これは面目上の一般市民が使う武器庫だからな。規模はあまり期待できそうにないが、それで異能者を一掃されては困る」

「なるほどな。んで、なにか作戦あるのか?」

「いや、その前に本部で言いかけた日暗さんの話が聞きたい」



ザワザワと人声が混ざり、隣の席の会話ですらまともに聞くことができない店内で、シングは前日日暗が言いかけた話が聞きたいと促した。ミルミも頷いている。日暗は周りの様子に注意をしながら「そろそろ頃合いだもんな」と話を始めた。




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