ミックス | ナノ


▼ Relation



「World fusion」と同じ世界観で、続きです。



「弾圧は予想以上です。能力者の革命をアイに何度か見てもらいましたが、どれもたしかに少人数でしたね。軍と対立するだけあって組織としてはしっかり機能しています。また、あちらの軍側には魔術士というも存在が確認できました。さらに能力者に似たものも。詳しいことはまだわかりませんね。しかし勢力の差は圧倒的……、組織同士で協力はしないみたいですし、いくら強くても私は彼らが勝利するとは思えませんね」

『たしかに革命組織の勝率は低いかな。でも、俺は少数が勝ったのを何度も見たことがあるよ。それこそ、カノンなんて一人で一つの軍を全滅させたことだってある』

「運も実力のうち、ですか?」

『そうだね。それもあるね。……まあ、ご苦労様。こっちに戻っておいでよ。みんなで』

「……? わかりました。では今から帰りますね」



「失礼します」と言って、通話相手のツバサが電話を切ったのを確認するとシドレも通話を終了させた。
地平線から浮かび上がる遠い遠い煙りのある方を、となりにいるアイがじっと静かに見ていた。何百キロとあるような距離を山の突き出した岩に座りながら見ている。アイの千里眼は情報収集にとても役にたっていた。
暇そうに寝転んでゆっくり空を見上げるのはワール。シドレとアイに雑用として連れて来られたのだが、現在はただ暇そうにしているだけだった。



「そろそろ帰りましょう。もうすぐで期限の三日目になります」

「三日とか、少ないだろ……」

「もともと無理を言っていますからね。本来の仕事がありますし。ツバサさんが情報を買ってくださることを期待しましょう」



シドレは広げていた荷物を纏めて、ワールに任せると立ち上がって下山することにした。異能を使って降りてしまうことも可能だが、一般の登山者もいる。ここで異能を使えば、一般人には能力者と同じように思われてしまうだろう。異国とは居づらい、別の生活。シドレたちは岩から降りると、一般の人に挨拶をしながらふもとにたどりついた。。

バス停まで行ってベンチに座ると、今がちょうどお昼時。シドレは鞄から弁当を出して二人と分けながら食べていた。バスが来るまで十分に時間は余っている。



「なあ、次のバスって何時からかわかるか?」



シドレがサンドウィッチを口にはさみ、アイが口に水筒のコーヒーを流して、ワールがモグモグと口を動かしている時だ。正面に一人の青年が立っていた。
男性恐怖症のシドレは瞬く間に離れて行き、サングラスをつけたアイと目付きの悪いワールが取り残された。青年は驚いた表情をする。



「すみません、あいつは気にしないでください」

「革命組織の人だよな」



ワールがシドレについて謝ったその時に、アイは青年を――日暗の身元を当てた。
アイは千里眼で、彼を見て、覚えていたのだ。前回の仕事で。



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