ミックス | ナノ


▼ Delusion girl



永倉が緋里様宅の「vice」を途中まで読んで、シドレに感想を言ってもらいました。シドレが言っているので腐注意です。
あくまでシドレ(腐女子)の感想でして、私(卒業しかけの腐女子)ではありません。
苦手な方は読まれませんように! 万が一気分を悪くされても責任を負うことはできません


・・・・・・・・・・・・・・・・・・



携帯端末機器。
それは携帯電話と呼ばれ、初期のころは電話を携帯するためだけに作られたものであったが、現在は様々な機能が追加されていた。

髪に赤いリボンを絡ませた金髪碧眼の少女、シドレはその携帯電話を大事に両手で包みながら脱力して広いソファに倒れた。
本棚の前に立って、パラパラと辞書のように太い本を捲っていた彼女の上司、ツバサはため息混じりに薄笑いでシドレに話しかける。



「いくらアイとワールが忙しくて自分に構ってくれないからって俺の書斎に来るの、止めてくれない?」

「ツバサさんの書斎は静かで好きです」

「それは実に光栄だね」

「ふふふ。あー、まさかのラグナさんを裏切って月詠さんに乗り替えるフラグが立っていて、私、私……っ!」

「また小説読んでたの? あ、ねえサクラ、ついでにその本棚整理しといて」

「っち」



書斎にはシドレとツバサだけでなくもうひとり、サクラがいた。黙々と書斎に散らばる書類やらツバサがふざけて割ったガラスのコップなどを掃除、整理していたのだった。
ツバサに反発的な態度をとりながらもいわれたとおり、たくさんの人が読み漁った本棚の整理にも着手する。


「ここは同性同士でくっつくのがベストだと思うんですよね。ノーマルも美味しいんですけどね! ちょっと、聞いてますか! ツバサさん!」

「……俺に話しかけてたの? 独り言が喧しい変な子だと思ってたんだけど」

「まあ! 酷いです!」

「シドレの言うとおり。ツバサ最低」

「サクラ仕事追加決定」

「……くそ」

「聞いてくださいツバサさん!」

「はいはい」



ソファから立ち上がったシドレはツバサを手招きしてソファの向かい側に座って欲しいと言った。ツバサは読みかけの本を手にしたままテーブルを挟んでソファに座る。
ツバサが座ったと確認するとシドレはマシンガンのごとくながながと喋りだす。



「――日暗さんの受けも見てみたいんですけど笑顔でラグナさんを押し倒すのもいいと思うんですよ! ラグナさんには精一杯動揺をしていただきたいのです! ちなみにイザヨイさんは攻めで月詠さんを下克上すれば俺得です! しかし今はフラグが立っていますからね。月詠さんの受けでラグナさん攻め……、嫉妬攻め! いま新しい道を開きました! 築きました! 美味しいです……。この場合、日暗さんとイザヨイさんには見守っていて欲しいですね。は! 二次創作補正で日暗さんをイヨさんみたいに鈍感天然要素を追加しても面白いと思――」

「うんうん」



笑顔でシドレの話を聞いているツバサだが、話の無いよう自体は右から左で全然頭に入っていなかった。何気なく時計をみて、いつアイとワールがシドレを回収するのか予測を立てたり、このあとどうやって補佐の目から逃れて仕事をサボるか考えているばかりだった。





- ナノ -