▼ Ice cream
※ 緋里さまが書かれた二つ目の「双子」の続きです
ソラ・ヒーレントは誰がどう見ても男だと判断できた。
それは制服のせいかもしれない。しかしそれだけではないだろう。遊びは他の男子生徒と混ざっても違和感はない。体育の成績は良い。着替えも男子に混ざる。
ソラ自身の容姿は中性的だ。声もそう。
だれがどう見ても男だった。
ソラもバレない自信はあったのだ。
「あー……」
まともに会話をしたのが今で初めてだというのに。前回会ったあのとき、一瞬で正体を見破られたのか、とソラは珍しく頭を働かせていた。
性別を偽る大半の人間は趣味か正体を見破られたくないという理由になる。ソラは後者だ。名前まで偽っているというのに。ソラの男装に問題があるわけではない。
「あ、悪かったか?」
片方の緑髪である鈴芽が言うと、ソラはしっかり返事を返していないことに気がついた。アイスクリームを食べる作業を再開させながら返事に困り、なんとなく視線を上にあげたら大嫌いな空が必然的に視界に入った。
「つまり先輩はオレが男じゃないって言いたいんですよね?」
「? 違うのか?」
「違いません。当たりです。まさか出会って早々、こんなにも早くバレるなんて思ってもいませんでしたよ。……自信はあったんだけど」
苦笑のひとつでも溢しそうな声で鈴芽をまっすぐ見た。ソラよりも背が高い鈴芽、そして鈴見からすれば上目使いにも見えたっていい角度なのに、目付きの悪さか、上目使いなんて可愛らしいものはなくどちらかというと睨んでいるように見えた。
「どうしてバレたのかわかりませんけど、正解です。理由の方は言いたくありません」
「話したくもないことは聞かない。な」
鈴芽は鈴見に同意を求めた。鈴見は双子の弟をみたあと、ソラを見下ろした。
「聞かれたって嬉しくないだろ。それにその左手のこともな」
「左腕です。……よくこの左腕が隠したいものだってわかりましたね。ただの怪我だと思うのが普通だと思いますが」
「俺たちに話しかけたときからブレザーのポケットに入れて隠そうとしてただろ」
「どうも人が多いとつい隠したくなるんですよね。以後気を付けます。あと、聞かないでいてくれてありがとうございます」
そのあとソラはまだ何か言おうとして止めた。
いままで何気なくポケットに入れていた左手を出した。指先まで包帯で綺麗に巻かれたそれは大怪我したように見える。
「なあ、名前教えてくれないか?」
「は?」
「だってこうして会ったのも何かの縁っていうだろ?」
「偶々だと思いますけどね。緑髪先輩たちから教えてくださいよ。聞いた方から言うのが普通だと思いますが」
「あ、そっか。俺は鈴芽。2Dだ」
「つつくんじゃねえ鈴芽。ッチ、俺もかよ。……2Fの鈴見だ」
「……普通科か。オレは1Eのソラ・ヒーレントです」
手に持っていた食べ物はすでになくなっていた。
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これでおわり、かな?
このあと迎えに来たルイトにソラが連れていかれるでしょう
一方的に
怒られながら