ミックス | ナノ


▼ Predation



悔しい。

相手とは身体のつくりが違う。
体格も違う。
単純な力差ではオレの敗けだ。
認める。
けれど「悔しい」なんていう感情があるものだからオレは相手を睨んだ。
どうせ無駄だということは承知している。
ここで怒鳴ったって状況は変わらないんだろう。
それでも、睨むというのはせめてもの抵抗だった。
ああ、悔しい。



「睨んだって逆効果だぜ?」

「それは残念」



通常ではあり得ない緑の髪は、現実逃避させる幻想の様で美しい。

オレは睨むのをやめた。
どうやら逆効果らしい。

オレの両手を押さえ付けながら押し倒すのは鈴芽ではない。鈴芽はそんなことしない。いや、断言はできないが少なくともその前にオレが押し倒す。故にいまオレを押し倒す緑髪の男は一人しかいない。鈴見だ。
鈴見は余裕そうにしているオレが癪に触ったらしい。オレの息を奪った。オレが一般より肺活量のあることを知っていてか、鈴見は息継ぎをする隙をオレに与えてくれない。それどころか強引に深いキスをする。
まったく、たまったもんじゃない。

唇を離された時にはオレは息を整えることで忙しくなる。そんな余裕を失ったオレをみて満足になったようで、鈴見は笑った。ニヤリと、捕食するような眼で。




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