▼ Park bench
ふわりと舞う、スカート。
それを上から抑えたのは、スカートを履くイヨではなく隣に座るツバサだった。
「あのさ、イヨちゃん」
「む?」
口に入れたばかりのチョコを噛みながらイヨはスカートを抑えるツバサの方を向いた。風がまだ吹いているせいか、彼の鮮やかな金髪も彼女の綺麗な栗色の髪もさらさらと流れている。
「少しはスカートを気にしてくれないかな?」
演技上手な彼がわざとらしく、優しさを込めた笑顔で言う。
「私なんかのスカートの中を見る奴はいないだろう。そもそも興味ある奴なんて」
「馬鹿?」
「なっ」
「イヨだけの身体じゃないってことをちゃんと理解して欲しいな」
「……」
「じゃないと俺泣いちゃう」
「ほう。ツバサが泣くところ、見てみたいな」
「へぇ、よく言うよ。ま、でも俺が泣く前にイヨが羞恥で泣くかもね?」
ツバサはイヨのスカートから手を離した。