▼ 一周年おめでとうございまぁぁあす!!
昼間、それなりに栄えるレンガ造りの通りに二人の少年がいた。
片方は黒髪で光の射さないあおい目の少年。もう一人は薄いブラウンに似た金髪のイヤホンをつけた少年。
「だからさ、お疲れ様って意味を込めてオレにケーキ奢ってよ。ホールケーキ5つだけで手を打ってあげる」
「ずいぶん上から目線ですねソラ様。無理だ諦めろ、つかそもそも俺より給料いいだろお前」
「ちょうどいいところにケーキ屋発見。ルイト、世界がオレにケーキを奢れと言っているかのようなタイミングだよ」
「本当にタイミングいいな。なんだこれ」
イヤホンの少年――ルイトは目の前の黒髪の少年、ソラに対して盛大にため息をついた。
二人はとある異能者裏組織に所属している者で、任務の帰りだった。ソラはルイトにケーキを奢れ、としつこく言い寄っていた。
「あー、わかったわかった。奢ってやるけど、ケーキは一つな」
「ホールケーキ一つか……。酷いな」
「普通のケーキだ。それに酷くない」
ソラが「チョコケーキのホールがいいなー」と表情を変えずに言いながら店に入っていき、ルイトは財布を握りながら「まじで買うのかよ」とソラの後を追った。
「たまには買い物にくるのもいいね、イヨ」
「……そうだな。それよりもこっちのショートケーキとミルフィーユに迷う……」
ケーキ屋、そこには二人組の男女がいた。
女性の方――イヨは顎に指を添えながら、うんうんと目の前に並ぶケーキを見ていた。その隣には彼女と仲が良い男性。髪をきゅっと頭の上で縛り、すらっとした身長や女性寄りの顔が彼を目立たせていた。彼は十闇。イヨと十闇は互いに相棒と言うほど信頼した関係だ。
「そんなに悩むなら二つ買ったら?」
「いや、ダメだ。さっきいろんな物を買ったせいであまり金がないんだ」
イヨたちのショッピングも終盤だった。現在のイヨの所持金は底を見せようとしている。基地に帰ればそれなりにあるものの、今の財布は軽い。
そうやってイヨが頭を悩ませている時だった。カランとドアの鈴を鳴らして入ってきたソラとルイト。
店にいる客はこの四人だけだった。ソラは店員にケーキをすぐに頼むと、暇そうにしていた。ルイトは財布を見てはソラに少し文句を言っていたがすぐに会計の準備をする。
「十闇だったらどっちがいい?」
「んとー」
「迷ってるんですか?」
イヨと十闇の会話にソラが割り込んだ。二人は驚いてソラをジッとみたが、ソラは全く気にせずイヨの視線の先にあったショートケーキとミルフィーユを眺める。
「個人的にミルフィーユがお勧めなんですがショートケーキも捨てがたいんですよね。だから悩むんですよ、わかります」
「そ、そうなんだ。二つを天秤にかけても傾かなくてな」
「ですよね、オレもそうです」
見知らぬソラと会話し始めたイヨに十闇は「ええええ」と驚いていた。ソラが隣から消えたことに気がついたルイトはイヤホンを弄ってからソラを発見して「またか」とため息をついた。ルイトはソラを無視して会計を始める。
ソラはイヨが話す言葉にうんうん、と共感して共感して話をどんどん盛り上げていた。
十闇はこうなったら手に負えない、と言わんばかりに二人から一歩離れた。そしてイヤホンを装着するルイトの存在に気が付く。
ルイトはホールケーキの代金を払っていてたった今ケーキを受け取った。
「――白くてふんわりしたクリームがなんたらかんたら――」
「――甘酸っぱい苺がクリームと口の中でどうとか――」
ケーキの話題を展開して誰にも入らせるスキを与えないソラとイヨを置いて十闇がルイトに話しかけた。
「あの子の友達?」
「え……あ、そう。ってことは」
「そ」
十闇がイヨの関係者だとわかるとルイトは「似た相方を持ったな」と呟いた。
「だよねー、ああなったら止まらないから」
「こっちの身にもなれっていうかなんというか」
「ねえルイトー」
ソラがイヨとの話に区切りをつけたのかルイトに十闇にも聞こえる声で言った。
「ショートケーキとミルフィーユ買って」
「はあああ?金ねーよ」
「いや、そこまでしなくても……っ」
「ッチ、小さい奴だな。
いいって。じゃあオレが買うから」
イヨがショートケーキとミルフィーユの両方が買えない事を知ったのか、ソラは自分の財布から札を出してイヨにケーキを買ってあげた。イヨは目をキラキラさせて、ソラに何度もお礼を言ってイヨは十闇にケーキが入った箱を見せていた。
「金あるんじゃねーかよ、ソラ」
「オレの金はこういう時に活用されるべき」
「どこぞのタラシかよ……まったく」
イヨとソラは連絡先も、名前もなにも知らせずそこでわかれた。
互いを忘れてしまったころに二人が再会するのはまだまだ先の話。
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コラボ企画でそれぞれがそれぞれとくっつく前の話……だとイイナ!!∀
緋里さま、一周年おめでとうございます!相互してからとても仲良くさせていただいて、感謝感激!
これからもイヨさんたちに萌えさせてくだsゲフンゲフン
これからもよろしくお願いします!
from:永倉 恭