集会


    

リャクが所有する研究施設の一角にある会議室で集会は行われていた。先日の襲撃による被害や現状について話し合い、既に集会は終盤。リャクはナイト、リカとサクラが出す結論を予測しながらもその言葉を待つことにした。


「今後、組織をどうするか考えているか」


暗殺部はウノの死亡によりすでに研究部に吸収されているようなものだが、確かに独立していた。残り二人の暗殺部を今後どうするのかはリャクが決定することではない。
ちなみに、傭兵部はすでに解散することを決意した。ボスとボス補佐の死亡が相次いだダメージに耐えられなかった。そして次期のボスを決めるにはカノンが大きすぎたのだ。


「暗殺部は解散します。二人だけではどうしようもないもの……。組織として運営はできない」


ナイトの結論は目に見えていた。リャクは「そうか」と息を漏らす。二人だけではどちらかというと殺し屋。組織を名乗るには弱小すぎる。


「諜報部はもう方針を決めたのか?」

「ええ。私たちは一部機材や重要な情報を倒壊する建物から避難させることに成功しましたし、重役の被害も最小限です。……ですが、ツバサが、ボスが組織を攻撃してきたのは我々にとって深い傷です」


ただボスが組織から脱退しただけではない。ボスが収集家と共に組織を襲撃した。リカの言う通り、ツバサに従っていた諜報部員にとってそれは衝撃的であり、大きな傷。
誰よりも、リカとサクラがショックだっただろう。


「俺たちも解散します。幹部たちと話し合った結果、そう決めました。しかし大変恐縮なのですが、一部の部員はリャク様のほうで雇っていただませんか」

「……なぜだ」

「機材も情報もあります。生活の掛かっている者もいます。解散を望まない人を路頭に迷わすわけにはいかない」

「貴様らの我が儘にオレを捲き込むな。と、一蹴したいところだが、情報は惜しい。新たに部署を設けて雇おう。あとでリストにまとめて提出しろ」

「はい」


深々とリカとサクラか頭を下げた。リャクの研究部存続は確定している。襲撃による被害者は出たが、研究部そのものに大ダメージはない。強いて言うならばボス補佐のナナリーが盲目になったということだ。ナナリーは封術の対象が巨大で、その代償として目を喪った。


「ナイトはいつここを出ていくんだ?」

「今日でも可能よ。荷物はこの身だけだもの。それはソラも同じね」

「そうか。ナイト教師だからな。もともと隠れ家としてマンションを一室持っているみたいだし、まあ問題はないだろう。ソラは?」

「ソラは当てがないから私のところで住まわせるつもりよ。本人が了承すればね。リカたちはこれからどうするの?」

「私たちは気晴らしに世界を回ろうかと考えている。異能者の人生は短いが、急くことはない」


今後の話を続けてから今回の、いや、最後の集会は終了となった。