もう身体はボロボロだった。退魔師にやられた。腕の肉が削がれてしまっている。左腕の骨は砕けて機能しないし、雪が身体中の怪我に染みて痛い。ああ、雪が赤色に溶けている


人間を食べ過ぎたかなあ、と反省する。でも最近は人間と共存できなくて食料が手に入らない。だから人間を食べたんだ。殺したばかりの人間の血肉は美味しい……。きっとその報いなんだろう。罪悪感があっても、食欲には負けてしまったんだ。
だって、食べなくちゃ俺が死んでしまう。俺は人間が好きだったんだけど死にたくなかった。

罰か。俺が人間を食べた……。

真っ暗な空から真っ白な雪が降る。綺麗だ。これば最期の景色だろうか。
ああ、やだなあ。退魔師の足音がする。もう指先の感覚がない。動けない。
嫌だ、いやだいやだいやだ、死にたくないよ。しにたくないよ……。

――たすけて。



「……」

「どうしたのですか?」



え?
口が勝手に? いや、ちがう、これは近くにいるだれかの考えていることを読み取って俺が喋ってしまったんだ。
……サトリの癖だ……。