高橋救出作戦の会議
 


暴れる赤神を高蔵寺が説得して落ち着かせた。それから辻を合わせて四人でそれぞれの状況について話し合う。



「彼女は辻といいますわ。成仏をしたいらしいのですが、どうやら成仏するために必要な自分の願い……つまりこの世の未練がわからないそうですわよ」

「ああ。だから願いなんて聞いてたのか……」

「九条はこの方面の話題にめっぽう弱いですわ」

「オカルトとかそういうの興味ないし」



面倒臭そうに振る舞う九条の背中を叩いて高蔵寺は赤神に続きを話していく。辻とどう出会ってここまで連れてきたのか、その経緯を順々に話していく。高蔵寺の上手な言葉使いに赤神は高蔵寺の話に納得した。



「あたしはついさっきまで寝てたよ。暗くなってきたから布団を這い出たの。そういえば高橋さんがいないって家中探し回って、んで外に出ようとしたらあんたたちとそうぐうしたんだよ」

「夕方にも出られるのか」

「馬鹿にしてんの? あのね、別に吸血鬼は太陽に弱いんじゃないの。苦手なの。まあみんながみんな太陽に強いわけじゃないみたいなんだけど。私は夜行性で昼間は眠いし太陽がちょーっと苦手なだけで、が、がんばれば外に出られるから!」

「嘘っぽい……」



赤神から逃れるように顔を反らして九条はため息と共に独り言を呟いた。
ずっと落ち着かないようすでそわそわとしている辻に高蔵寺は高橋の説明をした。辻は納得した表情を見せる。



「高橋さん、行方不明なの?」

「いえ、錬金術師のダンに捕まった可能性のほうが高いですわ。たとえ殺されたとしても明日には生き返るので心配はないといえばないのですが……、道徳的にちょっと難ありですわね。友人を見棄てられませんわ」

「あたし賛成! ダンとかいうやつボコボコに殴ってやる!」

「賛成」



「あ、辻は留守番ですわ」と高蔵寺にいわれたとたん辻は悲しげな表情をしたが、実態がなくそこに存在するしかできない辻には残念ながらできることが少ない。



「そうと決まったら高橋さんを探そう!」

「どうやって?」

「え」

「吸血鬼って鼻とか耳は良いのか?」

「人間より優れていますが探索できるほどではありませんわ」

「使えねえ」

「高橋のいる場所にも寄ります。あんまり遠いとただの血を吸う化け物ですわね」

「ちょっとお前ら喧嘩売ってんの!?」



テーブルに身を乗り出して赤神が暴れようとして、辻が驚いた。そしてゆっくり、恐る恐る手を上げて発言をする。



「あ、あの、人狼さんはお仲間にならないかな……なんて……」