A princess's revenge
姫小松と林王が行方不明になってから一週間が経過した。姫小松と林王の両親は警察に捜索願を出していたのだが、見つかる気配はなかった。なぜか。そう、なぜか。
二人が居なくなって黙っていられないのが勇汰たちだった。四人も賢明に捜していたのだが、心当たりのある場所はもう行き着くした。
「よう相棒。けっこう前から悩んでるような顔をしてるけどどうしたんだよ? 姫小松たちが心配なのはわかるけど、私たちができるのは……」
「……違うんだ。知ってるんだ、姫小松と林王が居る場所を。どうして居なくなったのか……、その理由を」
放課後の夕陽が差した静かな教室で朝比奈が心配して、勇汰の顔を見る。勇汰はうつむいたままポツリポツリといい始めた。 二人で相談をしていた五十嵐と凛は勇汰に耳を傾けた。
「心当たりのある場所を捜し尽くしても見つからないのは当たり前だ」
「?」
「俺たちが言う『心当たり』は現世の『心当たり』だ。前世での『心当たり』は捜していない」
「ちょっと待ってよ勇汰。それって姫小松と林王が前世でゆかりのある場所にいるって言ってるみたいじゃん。ていうか林王に前世なんて考えられないから、姫小松が何かしたってこと?」
凛は売店で買ってきた大量の肉まんを頬張っていた手を止めて、紙袋を抱き抱えたまま首を傾げた。傾げた頭がちょこんと五十嵐の肩に触れる。
「前世の姫小松……つまりお姫様のことは勇者の勇汰がよく知ってるよね」
「ああ。ついでに魔王のこともな」
「? どうしてここで魔王が?」
凛と同じ方向に五十嵐が首を傾げる。凛は目を泳がせたあと、はっとして「嘘ぉっ!?」と叫んだ。
「魔王の封印は完璧だ。俺たちみたいに転生はできない。だが、子孫は残していたんだ」
「そ、それが林王ってわけだね……?」
「ああ」
凛の慎重な問いに勇汰は頷いた。朝比奈と五十嵐は驚く。ただの、普通の人だと思っていた林王が前世で大きく関わった魔王の子孫なのだ。
「そういえば俺たちが前世の話をしてたとき、林王が静かだったけど……。あれは話がわからないんじゃなくて何も言えなかったのか。魔王の子孫だから……」
「おいおい、まじかよ。でも魔王の子孫だろうが林王は林王。かわいい林王ちゃんだ!」
「でも魔王の子孫ってことは何するかわからないぞ……」
「何かするつもりなら、その隙と余裕は今までに何度もあったはず。林王はなにもしない、裏なんてない。あやしいのは姫小松だ」
朝比奈は五十嵐の林王に対する疑いを晴らす。勇汰と凛が何も言わないため、二人も同意していると考えて話を続けた。
「もしかしたら勇汰みたいに、前から林王が魔王の子孫だって気がついていたのかもしれない。前世で魔王に散々苦しめられた挙げ句、殺された。その復讐をしたっておかしくない!」
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