何度もいうように、深青事件の犯人は僕だ





12歳。
それが僕の寿命だった。
「深青事件」と後に呼ばれることとなった大きな事件を引き起こした犯人である僕はたくさんのひとに恨まれることになる。僕の故郷であるブルネー島を焼き付くし、島民を皆殺しにした僕は恨まれて当然。島を離れていた人や親族は犯人を恨んだ。初めはただの火事扱いだったのに、遺体に斬殺のあとが発見されたんだ。

ブルネー島は特殊な島だった。
異能者と無能者が共存していた。共存なんて、よくある話。特殊なのはそこじゃなくて、異能者のほとんどが術者だということだ。とくに魔術師。それによる影響がある。術者は能力者と違って魔力が存在する。
島はもともと小さく、荒波や異常気象に悩まされていた。数年後には沈んでしまうかもしれない。そこで術者だ。術者を中心に島を敬う信者団体が結成された。島を敬う心が島を災害からまもるのだ。具体的には魔力が目に見えない防波堤となるんだが。その防波堤は術者だけが操作するのではなく無能者や少ない能力者にも関係させて信者がいる限り防波堤は崩れない仕組みにしたんだ。
僕には細かいことはわからないけれども。

僕が深青事件の犯人だという答えにたどりついたのは5人。
口封じのために殺そうかと思ったけど、無理だった。

その5人のうち4人は四大組織のボスだった。水、炎、大地、風の組織。
そのうち研究を中心にしている大地の組織に捩じ伏せられた。そこのボスは魔術師だった。大地の組織のボスは狂研究者だ。僕を犯人だからと始末しにきたのではなく、面白いからと採取しにきたんだろう。ボスであるその魔術師と戦ってるとき、その魔術師は最下級魔術しか使わなかった上に足を微塵も動かさなかった。実力の差を感じた。

5人のうちひとり、それこそが現在の僕をつくりだした奴だ。僕の寿命を12歳にした、僕の左腕に"呪い"を刻み込んだ――魔女。



大地の組織の牢獄に似た収容所に文字通り収容された僕は意識がない日々を過ごした。日にちを何度も何度もまたいだある日、突然。僕に手が差し出された。「助けに来たわ。あなたの力は使える」と言われた。それが水の組織。大地の組織の支部であった研究所を水の組織が襲撃して僕を保護した。


故郷をなくし、住む場所もなくし、家族を殺した僕に行く場所がない。水の組織に保護された僕はそのままそこに所属することになった。研究所での地獄のような日々から解放してくれた、島を1つ焼いた僕に他の子とかわらない優しさをくれたウンディーネ様のために尽くしたかったのもある。たったそれだけ、という人がいるかもしれないが、僕にとって大きなことだった。