お姫様発見




どこぞの捕らわれたお姫様はどこだ、とジンの手をひいて捜す。左右ばかりではなく先を見れば、少年の人影が見えてくるのだが、まだまだ先みたいだ。あれがルイト。ルイトは無事らしい。暗闇でも色をはっきり見分けて、オレの眼は鮮明にルイトを映し出していた。

まったく警備員がいない静かな廊下を進んで、やっとルイトが閉じ込められている牢屋の前にやってくる。口はガムテープできつく塞がれ、目は黒い布で覆われていた。流血はしていないものの、濃い痣がいくつも見え、心苦しくなる。
ルイトはイヤホンをつけていなかった。取られたのだろう。オレたちが通常の声の大きさで喋ってしまえばルイトは苦しむから声を抑えることにした。



「鍵はー……、これかな?」

「ソラ、早くしてくれよ!」

「急かさないでよ。寒くて指がうまく動かないな……。穴に入らな……、よし、入った!」



輪にジャラジャラとたくさんついていた鍵の中から鉄格子にかけられた看板と同じ番号の鍵を探して鍵穴に入れた。ガチャンと重たい音がして扉が開く。

オレとジンは急いでルイトの近くへ駆けつけた。手錠と足枷はジンが破壊し、オレは黒い布と口のガムテープを外した。口の中には布が詰め込まれていて何も話せない状態だったらしい。ジンはまだ足枷を壊していて手錠は取れていないから口の布はオレが引っ張り出すことになった。



「ルイト、大丈夫?」

「ソラとジンこそ大丈夫か? 怪我はないのか!?」

「なんでこんな時まで人の心配を……。オレとジンは大丈夫だよ。それよりルイトの方が酷い。痛い?」



ジンが足枷がを外して驚いた。足枷の内側は太い針が一面にあり、ルイトの足首を傷付けていた。手首も同じだ。オレとジンは何も喋れなくなってしまう。



「は、はやくミルミと合流して怪我を!」

「ルイト大丈夫じゃない! どうしよう、まずは止血!? てかルイト寒いでしょ、ちょっとまって!」

「お前ら落ち着けよ。俺は大丈夫だって……」



オレは急いでルイトのネクタイを無理矢理ほどいて、それを足首に巻き付けた。ジンは服の袖部分を破いてルイトの手首に。ジンが縛る時、ルイトは「痛い痛い痛い! いってぇよジン!!」とか言ってた気がする。両手足を縛る。足を各々縛るだとか、手を各々縛る発想は俺たちには無く、纏めて縛るものだからルイトは再び両手足が不自由となった。
ルイトは顔を歪めていたが、そんなの見てない。知らない。



「よし、ルイトを運び出すぞ、ソラ!」

「了解です、少佐!」