幼馴染み
「ねえ、なんでジンがこっちにいるわけ?」
レイカの作戦を決行させようと、オレは裏口から施設の中へ侵入を成功させた。正式な玄関の方で少し暴れるシングとミルミ、そして要人の玄関で暴れるジンとは別に、オレは裏口から入ることになかったのだが、おかしい。 どうしてオレと同じ裏口にジンがいるんだ。じと目で見れば何やら自信ありげに、すこし抑えた声で言う。
「ルイトを放っておけるか!」
「担当場所があったじゃんか。持ち場についてよ。囮役をシングたちだけに任せるつもり?」
「こんな小さな町だ。大したことねえよ」
まあ、パッと見、田舎のこの町に数は期待できない。しかし異能者を飼うような町だ。いくら田舎だといっても余裕は見せられないと思う。 説得しようにも、ジンの意志は固い。仕方なくジンを連れていくことにする。
「……足手まといにならないでよ」
「おう」
片手だけに拳銃を持ち、弾倉を確認したあと、オレは気配を消して物静かな施設の中を進む。曲がり角、様子を見てから進む。すべての監視カメラはこちらを向かないで、ずっとそっぽを向いていた。他にも警報装置などはいくつもあったがどれも作動しない。レイカのおかげだろう。 後ろを振り向けば、ジンは重たい鉛の仕込まれた特殊な手袋をつけている。気配も消せているし、このまま大人しくオレのあとについてきてくれるなら問題はないだろう。
途中で忙しい警備員を二人発見したので、一人を撃ち殺してもう一人を脅した。捕まえた異能者をどこか聞いても答えてくれない。仕方なく、記憶の中にあるいつかやられた拷問でもしてあげようかな、と警備員の手袋をとって爪をゆっくり剥がしていると、さらさら情報を吐いてくれた。簡単だったな。
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「それにしてもレイカって凄いよね」
「……ああ」
少し血が付着した牢屋の鍵。隠れながら移動し、時には気づかれないうちに殺す。そうしてついたのがセキュリティが解除された牢獄だ。ここにも警備員がいる。当たり前か。奥の方から鎖が地面を擦れる音がたまに聞こえる。もしかしたらルイトかもしれない。
「ジン、オレが警備員をやるから収容エリアに入るためのあの鉄格子を壊してくれる?」
「わかった。……なあ、お前さ、本当に人を殺してなんとも思わないのか?」
「いまさら。楽しいだとか、つまらないとか思ったことはないよ。誰に対しても」
「なんで今、ルイトを助けようと思うんだよ。ルイトが死んでもなんとも思わないんだろ?」
「仕事だからだよ」
「っお前……」
「それと、個人的には親友の悲しむ顔を見たくないってことが理由」
ジンの目を真っ直ぐ見て言えば、彼は押し黙った。これ以上ジンが何かを言う前に、警備員を片付けてさっさと捕らわれたお姫様を助けよう。
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